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よい言葉は心のサプリメント
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生き方・教養
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●はじめに

『よい言葉は心のサプリメント』
[著]斎藤茂太 [発行]二見書房


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 最近、学校を卒業しても、定職に就かなかったり、就職してもすぐにやめてしまう若者が増えているという。理由を聞いてみると、「なかなかいい就職先がない」というよりも、自分が何をやりたいのか、どんなところに就職すればいいのか、迷っているからだというのだ。

 なかには、親がうるさいので、就職することはしたものの、結局そこを一年も経たないうちにやめて、「あの会社には自分がやりたいことがない。自分がやりたいことがまだ見つからないから、いまは何もできない」と理屈をこねるのもいる。

 そこで毎日何をやっているかといえば、おなじような仲間たちと携帯電話で連絡しあい、コンビニやゲームセンターでたむろする。別に悪いことをしているわけではないから、親も強くはいえず、「まあ、若いうちはあわてることもないだろう」と、大甘(おおあま)な言葉をかけて、とりあえずは、家庭の平穏が大事とばかりに、見て見ぬ振りをする。

 まことに情けない世の中になったものだ。あえて厳しいことをいうと、私などの世代、いやもっと下の世代から見ても、いまの若い世代は物質的に恵まれているせいか、全般的に忍耐力がなく、心理的に甘えが強いのではないかと思う。

 たしかに、就職するのはたいへんなことだ。第一にわがままがいえない。第二に会社に合わせた生活を送らなくてはいけない、第三に否応なく毎日が人とのつきあいとなる。どれもこれも、最初は困難で、慣れるまでには時間もかかろう。だが、どれが欠けても、社会人としては失格となる。だからこそ人は、そんな社会生活をとおして、多少の困難があろうとも、結果的には、人生にはひとつのことをねばり強く続けることが必要なのだということを学ぶのである。

 こんなことをいうと、「そんな面倒なことはやっていられないよ。そのうち、いいところを見つけるから、だまっていてよ」といわれ、それ以上は何もいえなかったという親御さんがいた。さらに問いつめると、「べつに、頼んで生んでもらったわけじゃない」といったとかいわなかったとか。

 人間として生まれた以上、楽しく生きるも、(むな)しく生きるもその人しだい。自分の生活面でのふがいなさを親のせいにするようでは、後悔したときにはもう遅いということだってある。

 現実には、そんな若者がいる一方で、就職先で真剣にもがいている若者も大勢いる。毎日上司に怒鳴られ、踏まれたり叩かれたりしてがんばっている。「自分はもうダメだ」と思いつつも、自分の仕事になんとかやりがいや希望を見いだし、冷静に自分のおかれた状況を考えながら、懸命に働いているのだ。

 人生には、むしろ、思いどおりにことがすすまないことのほうが多い。仕事に家庭に、難題はつきものだ。結局人生は、どんな状況になろうとも、その人なりの工夫(くふう)をつくし、そのなかでいかに希望を見いだすかにかかっている。

 本書は、私が講演やちょっとしたエッセイなどでときたま紹介する古今東西の名言たる「言葉」のなかからいくつかを選び、私なりの解釈で、すでにおなじみのわが斎藤家のことなどを交えながら、人生体験上必要と思われるさまざまなエピソードを加えてみたものである。

 読者によっては、私が紹介したエピソード以上に、自分のおかれた立場をいくつもの言葉にあてはめてみる方もいよう。私以上に、それぞれの言葉の持つ奥深い味わいを感じとっていただき、これからの人生の一助としていただければ幸いである。

 
二〇〇六年新春
斎藤茂太
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