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イチローにみる「勝者の発想」
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まえがき

『イチローにみる「勝者の発想」』
[著]児玉光雄 [発行]二見書房


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 まえがき


 メジャーリーグ2006年のシーズンが始まった。今年もイチローと松井秀喜の活躍にファンの注目が集まるのは間違いない。

 ワールド・ベースボール・クラシック決勝でキューバを撃破し、みごとに世界一に輝いた日本チームの立役者イチローは、今年こそ打率4割の壁に果敢に挑んでいくはずだ。

 松井にしてもヤンキースと新たに4年5200万ドル(約60億8400万円)の契約を結び、過去3年間届かなかったワールドシリーズ制覇に向けて新たなスタートを切ることとなった。

 この二人に共通していることは、「いま」という時間に完全燃焼していること。これこそ究極のプロフェショナル思考である。

 多くの人が、「成功とは、自分の欲しいものを手に入れること」と、考えている。もちろんそれも成功の一つの要素ではあるが、最も重要なものではない。欲しいものを手に入れるまでの自らのプロセスに対する心構えこそ成功そのものなのだ。

 確かに欲しいものが手に入った直後は幸福感に満ちあふれている。ただし、その喜びは一時的なもので、すぐに色褪せてしまう。

 例えば、イチローにとってはヒットが自分の欲しいもの。しかし、ヒットよりもおそらく彼がもっと大切にしているものは、ヒットを打つために自分がとる思考と行動のパターンである。結果としてのヒットよりも「いま」という瞬間に何ができるかを自分で決断する。これこそ彼の一番の関心事であるはずだ。

 松井秀喜にしても、ホームランを打とうが、三振に終わろうが、いつも気持ちをリセットしてバッターボックスに立つことが「いま」という瞬間に完全燃焼している証なのだ。アメリカを代表する啓蒙家であるジョン・C・マクスウェルはその著書の中でこう語っている。
「一度に二十の方向に向かって進もうとする人は、潜在能力を伸ばすことはできない。能力を発揮するには集中する必要がある。だからこそ、自分がエネルギーを傾けるべき人生の目的を発見することが重要になってくるのだ。いったん何に集中させるかを決めたら、そのために何を捨てるかを決めなければならない」

 ちょうど太陽光線を凸レンズで一点に集めるように、「いま」という瞬間を完全燃焼して自分の得意技にエネルギーを集中させること。これが天才と呼ばれる人達に共通する真実である。
「イチローも松井秀喜も、特別の才能を持った天才である。だから私たちにはとうてい真似できない」。多くの人々がそう思っている。ほんとうにそうだろうか?

 イチローと松井の真の凄さは、そのバッティングにあるのではないと私は思っている。「道を究める」ということにおいて、この二人の天才は私たちのような普通の人間をも人生を成功に導く貴重なヒントを与えてくれる。それが本書のテーマである。

 才能が天才と凡才を隔てているのではない。実は、人間というのは、誰でも天才になるように生まれてきている。ところが、人間が天才であり得るのは、たいてい3〜5歳までである。つまり、物心がつきはじめた頃からほとんどの人が天才になる特権を自分で勝手に放棄してしまっている。これは実にもったいないことである。

 学校教育によって子供がどんどん賢くなっていくと、私たちは錯覚している。確かに、知識を身につけるという点では有効な方法であるかもしれない。しかし、知識を得るのと引きかえに、失っていくものもまた多いことに気づかねばならない。

 常識は天才には必要ない。むしろ脳に常識を詰め込むことによって、才能という刃先を鈍らせることもある。不必要な知識を詰め込むことが、脳の貴重な領域を侵略している可能性があるのだ。

 イチローや松井は、決して学業を怠っていたわけではない。むしろ二人とも学校の成績は上位だったという。

 学校でよく勉強して一流の大学に入って一流企業を目指す、まはやそういうステレオタイプの人生設計が成り立たなくなってきている。

 21世紀は手に職を持つ人間しか生き残れない時代に突入しつつある。固有の才能を持った人間は必要とされるが、学業が優秀なだけの人間はもはや使いものにならない。知識を詰め込んだだけの優等生をもはや組織は欲していない。

 思考と行動のパターンを変えてスペシャリストを目指そう。自分の信じた道をひたすら突き進む。それが変革の時代を生き抜くための唯一の方法なのだ。

 才能はたった一つでいい。ただし、その能力では、誰にも負けてはならない。そのためには、「この分野ではオレが世界一」と言えるまで目の前の仕事を習慣に落とし込み、その仕事に惚れ込んでしまう必要がある。

 好きなことをやっていると、「努力」とか、「頑張る」という言葉は消える。逆の見方をすれば、本人に「努力している」という意識がある限り、少なくともその人間はその分野で一流ではない。

 むしろ頑張らないほうがいいのである。頑張るとすぐに息切れする。仕事ですぐに息切れする人は成功できない。仕事というのは、たいていの場合、単純作業である。外部の人間から見れば、なんてつまらないことをしているんだと思える作業の連続である。「頑張る」という意識で仕事をしていると、たとえ本人にその意識がなくても必ずどこかで緊張感が切れてしまう。

 歯を磨くときに頑張る人はいない。肩の力をぬいて、歯を磨くときのような気持ちで仕事に打ち込めばよい。そうすれば、どんなことでも長続きする。日常習慣と仕事を区別しない。そのことで単純作業も楽しくできるようになる。

 イチローと松井は、自分のやるべき日常の仕事にごく自然に没頭しているという点において、天才といえるのではないだろうか。


 2006年4月

児玉光雄
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