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疲れ知らずの簡単な方法
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雑学
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○そもそも、人はなぜ疲れるのか?

『疲れ知らずの簡単な方法』
[編]ライフ・エキスパート [発行] 河出書房新社


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・「肉体的に疲れる」って、どういうこと?

 運動をすれば、だれでも疲れる。その原因が乳酸(にゅうさん)などの疲労物質であることは、いまではよく知られるようになった。

 人は、筋肉を収縮させることで運動しているが、そのために必要な運動エネルギーは、おもに糖を燃焼させることでつくりだされている。そのさいに、副産物として乳酸や焦性(しょうせい)ブドウ酸が生みだされ、これが筋肉に蓄積(ちくせき)されていく。これが、“肉体的”に疲れることの基本メカニズムである。

 また、筋肉に蓄積された疲労物質は、血液の循環(じゅんかん)によって取り除かれるが、血液のめぐりが悪いと、疲労物質はたまる一方となる。血液のめぐりがいいかどうかも、疲れやすいかどうかを大きく左右する。

 筋肉の柔らかい人より、(かた)い人のほうが疲れやすいとよくいわれるが、それは筋肉が硬いと血管が圧迫されて、血液の流れが悪くなり、疲労物質が除去されにくいためなのである。

・「精神的に疲れる」って、どういうこと?

 運動しなくても、ひどく疲れることがある。

 たとえば、授業を受けたり、会議に出席してじっとしていても、ドッと疲れることがある。

 それも、ひどく退屈(たいくつ)だったり、面白くもないのに態度はまじめにしていなければならないとき、疲れ方が激しくなるものだ。

 そういった精神的な疲れの原因は、脳のなかの「古い脳」(視床下部(ししょうかぶ)=自律神経の中枢(ちゅうすう))にあるといわれる。

 考えたり、物事を判断するのは、「新しい脳」(大脳皮質(だいのうひしつ))で行なわれるが、こちらは意外に疲れにくい。それよりも、古い脳のほうが疲れやすく、古い脳が関係している感情や意欲が刺激されない環境におかれると、人は疲労感を訴えることになる。

 そういわれると、学生時代、興味がなく、つまらない授業ほど疲れ方が激しかったと思い当たる(ふし)があるのではないだろうか。

 しかし、そのつぎに、好きな授業があったり、昼休みだったりすると、その疲れは一気に吹っ飛んだはずである。それだけ、感情や意欲の疲れは、立ち直るのも早いということだ。

 ここにも、ストレス解消や気分転換が重要な理由がある。

・たんぱく質は、なぜ元気の源なのか?

 スポーツ選手は、試合の前日から、おにぎりやスパゲティ、うどんなどの炭水化物(たんすいかぶつ)を中心にとる。炭水化物は、消化されるとブドウ糖に変わり、運動エネルギーのもとになるからである。

 一方、試合後は、肉や魚、大豆製品などでタンパク質を補給する。疲労をすばやく回復させるためには、良質のタンパク質が欠かせないからだ。ふだんなにもしなくても疲れやすい人は、このタンパク質が不足していることがよくある。

 肉や魚、大豆製品などを食べると、胃から小腸で消化・吸収されてアミノ酸に分解される。このアミノ酸は、門脈(もんみゃく)を経て肝臓(かんぞう)へいくが、ここで人体に欠かせないタンパク質に変えられることになる。

 皮膚や筋肉、内臓、さらに血液からホルモンに至るまで、体の組織はすべてタンパク質でできている。そのタンパク質が不足すると、体内のバランスが(くず)れ、疲れを感じやすくなるのだ。

 ちなみに、大量のお酒を飲むと、肝臓では、タンパク質の合成よりも、アルコール分解を優先する。その結果、体内にタンパク質がいきわたらず、疲れやすくなる。つづけて大量の酒を飲むと、疲れやすくなったり、また疲れがとれなくなるのは、そのためだ。

・水分が不足するとバテやすくなるわけ

 真夏には、クラブ活動中に倒れる生徒がけっこういるものだ。ふだんなら、その程度の練習は大丈夫でも、夏場は突然バッタリ倒れてしまい、救急車で病院へかつぎこまれることになる。

 そんなとき、倒れた生徒はたいてい「脱水(だっすい)症状」に(おちい)っている。体内の水分が汗や尿で排出されて不足し、体の機能が急激に低下しているのである。

 人間の体の六割以上は水分であり、脱水症状がすすむと、血液がドロドロの状態になる。むろん、ドロドロの血液は血管内を流れにくくなり、その分、全身に酸素や栄養素を送り届けたり、疲労物質を取り除くという働きが(にぶ)ってくる。当然、ふだんより格段に疲れやすくなるわけだ。

 さらに、脱水症状がすすむと、命に関わることもありうる。スポーツにかぎらず、汗をかく季節は、こまめに水分補給するのが、疲れを防ぐコツになる。

・月曜日に疲れを感じる人、感じない人
「一週間のうち、疲労を感じるのは、どの日?」というアンケート調査によると、「日曜日と月曜日」と答える人がもっとも多い。

 日曜日は、どこかへ遊びにでかけたり、スポーツをしたりと、ふだんつかわない筋肉をつかうことが多い。そのため、筋肉に乳酸(にゅうさん)などの疲労物質がたまり、肉体的に疲れたと感じる人が多いのである。

 一方、翌月曜日は、前日の疲労が抜けないまま、肉体的な疲労感を引きずっている。

 さらに、月曜日は、あらためて仕事や勉強がはじまる日であり、「また一週間がはじまるのか」と内心うんざりしている人が多い日である。そういうブルーな気分が精神的な疲れを招くのだ。

 その証拠に、仕事や勉強が楽しく、月曜になるのが待ち遠しいというタイプは、月曜日から疲労感を感じるということはない。

・一日に二度訪れる“魔の疲労時間”とは
「一日のうちで、もっとも疲れを感じるのは何時?」と質問すると、会社員も学生も、一日の仕事や授業の終わる一〜二時間前という人がもっとも多い。会社員なら午後四時から五時ごろ、学生なら二時から三時ごろである。

 そのころは、肉体的にも一日の疲れがピークに達する。とくに、長く机の前に座っていると、筋肉が硬くなって血流が悪くなる。疲労物質が取り除かれにくい状態になって、疲れを感じやすくなるのである。

 さらに、心理的にも「終業までまだ一時間以上ある」とマイナス方向に考えて、意欲が(おとろ)え、精神的な疲れも感じやすくなる。

 また、アンケートによると、午前一一時から一二時ごろにも疲れを感じる人が少なくない。朝九時から仕事をはじめ、二時間ほどたつと、たしかに肉体的に疲れてくるし、そろそろ集中力が切れて、仕事や勉強への意欲が衰えてくる時間帯でもあるのだ。

 要するに、毎日朝から規則正しく仕事や勉強をしている人は、一日に二度、疲れやすい時間帯があるわけだ。そんなときに、重要な会議を行っても、むろんいいアイデアがでる確率は低くなる。

・脳の疲れにはコレが効く!

 疲れた脳を休ませる最良の方法は、もちろん睡眠。徹夜(てつや)のような状態が数日つづき、本当に脳がクタクタに疲れたときなど、眠りこけて目覚めたときには、一五時間以上眠っていたということもある。それだけ眠ると、脳の疲れがとれて、スッキリした気分になるものだ。

 しかし、事情によっては、ゆっくり寝ているヒマもないときがあるが、そんなときでも一〇分から一五分、脳の疲れをとるための時間をつくると、能率はずいぶんちがってくる。

 具体的には、散歩をしたり、好きな音楽を聞いたり、ただ(だま)って目を閉じているだけでも、脳の疲れはとれていく。さらに、星や遠くの景色を(なが)めたり、マンガを読んでも、脳の状態はちがってくる。

 もっと頭をスッキリさせたければ、軽く運動することだ。

 とくにおすすめなのが、その場で軽くジャンプすること。爪先(つまさき)が床から離れるか離れないかぐらいで、トントンと()ぶと、肩こりや首のこりも解消し、頭もスッキリしてくる。

・「すぐに疲れる」ようなら、この大病を疑え

 とくに激しい運動や仕事をしていないのに、妙に疲れやすく、また疲れがとれないときは、「糖尿病(とうにょうびょう)」を疑ってみるのが医学の常識である。とくに、中高年の場合、疲労感の原因が糖尿病であることが少なくない。

 糖尿病は、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンが不足するために起こる病気で、筋肉を動かすエネルギー源のグリコーゲンが、どんどん体外へ排出されてしまう。栄養源である糖が不足するわけで、すぐに疲れを感じることになる。

 糖尿病の症状には、のどがかわく、甘い物が食べたくなる、精力が減退する、手足にしびれ感や痛みがある、おできができてなかなか治らない、尿量が多くなるなど、さまざまなものがある。そのなかで、最初にあらわれる症状が「理由のない疲労感」なのである。

 現在、二〇歳以上の日本人のうち、六九〇万人が糖尿病で、さらに糖尿病の可能性を否定できない人が六八〇万人はいるといわれる。つまり、日本人の一〇人に一人はその可能性があるというわけだ。「なんだか疲れやすいな」と感じている人は、一度専門医の診察を受けてみるといいだろう。

・「疲れがとれない」は、重大な病気のサイン
「ちょっと体がだるい」というとき、たいていの人は「風邪(かぜ)かな?」と思うものだ。しかし、セキもでないのに、その倦怠感(けんたいかん)が何日もつづくようなら、肝臓を(わずら)っている可能性を否定できなくなる。

 肝臓は体内の「化学工場」とも呼ばれるように、いろんな成分をつくり、合成し、(たくわ)えている臓器。肝臓の機能が衰えると、体調がたちどころに悪くなり、強い疲労感を感じるようになる。肝臓を患った人にしかわからないといわれる「どこへももっていきようのないだるさ」におそわれ、なにをするのも億劫(おっくう)になってくるのだ。

 症状が進行すると、立っていることも(つら)くなり、「とにかく寝ていたい」と思うようになる。さらに、寝ていても、身のおきどころがないぐらいにだるくなってくる。

 肝臓疾患といってもさまざまな種類があるが、酒の飲みすぎはもちろん、最近は肝炎を患う人が急増している。肝臓は、別名「沈黙(ちんもく)の臓器」といわれるぐらいで、はっきりした自覚症状のないまま、病気が進行してしまうケースが多い。そのため、定期検診などで、肝臓の状態はよくチェックしておくことが大切である。

・弱った腎臓が疲れを引き起こす
「肝腎(肝心とも書く)」という言葉は、「“肝”臓」と「‘腎’臓」から生まれた。それほど、臓器のなかでも腎臓(じんぞう)は、肝腎な臓器といえる。じっさい、腎臓を悪くすると、ひじょうに疲れやすくなる。

 腎臓は、尿をつくる臓器として知られているが、それ以外にも水分と塩分の調整、血圧のコントロール、解毒(げどく)作用など、さまざまな働きをしている。とくに、体内の水分調整に関係しているため、腎臓が悪くなると、大切な栄養素がどんどん体外へ排出(はいしゅつ)されてしまう。そのため、体に栄養素がいきわたらなくなって、疲れやすくなるのである。

 その他、腎臓疾患の症状としては、手足のむくみ、おしっこにいく回数が異常に増えたり、逆に少なくなったり、尿の色が(にご)ってくることなどがある。疲れやすくなったうえに、それらの症状もみられると、腎炎や腎不全などが疑われることになる。

 これらの病気は、検尿で発見できるので、定期的に検尿を受けておくことも大切なことである。

・サラリーマンを突如襲う「過労死」の恐怖

 英語で「Karoshi」と書くと、「過労死」のことである。日本の過労死問題が世界に向けてレポートされたところ、「なぜ、日本人はそこまで働くのか?!」と驚かれ、「過労死」はそのまま英語になってしまった。

 現在では、「過労」は病気と認定されている。働きすぎると、動悸亢進(どうきこうしん)や冷や汗、下痢(げり)などに加え、不眠、不安など神経症のような症状まであらわれるのだ。

 こうした体の訴えを無視して、なおも働きつづけていると、日常生活のさまざまな問題もからんで、精神的に追い詰められ、ついには自殺につながるケースが珍しくない。

 また、最近は、生活習慣病といわれる「がん」や「心筋梗塞(こうそく)」などの心疾患、「脳梗塞」などの脳血管疾患も、主原因として過労が認められるようになった。

 これまで、厚生労働省は、脳や心臓疾患の労災認定では、主として発症前一週間程度の働きぶりだけを問題にしてきたが、二〇〇一年一二月、ようやく長期にわたる疲労蓄積も原因として認めると、労災の認定基準を改めたのである。

 長引く不況のなか、リストラの影におびえながら働くサラリーマンや、資金繰()りに走りまわる中小企業の経営者の過労と心労は、いまやたいへん大きな問題になっている。

・「怠け病」と、「慢性疲労症候群」の違いとは
「体がだるいとか疲れやすいといったって、健康診断をしたら、どこも悪くないじゃないか。お前のは『(なま)け病』なんだよッ!」

 ひょっとしたら、上司からこんなふうに怒鳴(どな)られている人がいるかもしれない。健康診断で病気でもみつからなければ、上司はどうしてもそんな反応になりがちだ。

 ところが、いまから一三年ほど前、アメリカで新しい病名が発表されて、世界中が驚いたことがある。それが、休息しても眠っても疲れがとれないという「慢性(まんせい)疲労症候群(CFS)」である。

 健康診断を受けても、これといった病気がみつからないのに、ひどく疲れた状態が六か月以上もつづく。

 さらに、(1)微熱(びねつ)がある (2)頭が痛い (3)眠れなかったり、眠りすぎたりする (4)のどが痛い (5)リンパ節が()れて痛い (6)ゆううつな気分がつづく (7)関節が痛む (8)筋肉が痛む (9)筋力が低下する (10)仕事をしたあと、疲れが長くつづく――といった症状のうち、八項目以上当てはまれば、「慢性疲労症候群」に該当(がいとう)するとされている。

 しかし、この病気の原因は、いまもはっきりわかっていない。ウイルス説もあれば、うつ病説もあり、ストレスがきっかけになるともいわれる。そのため、残念ながら治療法も確立されていない。
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