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奉仕するリーダーシップ 小川淳司監督はヤクルトに何をしたのか
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■ メンバーの長所を徹底的に伸ばす

『奉仕するリーダーシップ 小川淳司監督はヤクルトに何をしたのか』
[著]児玉光雄 [発行]二見書房


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 2011年のペナントレース前半戦の小川淳司率いる東京ヤクルトスワローズの快進撃は目を見張るものがあった。

 小川は2010年5月27日、高田繁前監督の後を受けて監督代行に就任。この交代を機にチームは急上昇。最終的にクライマックスシリーズへの出場争いを演じてみせた(ただし、クライマックスシリーズ・ファイナルステージで中日に敗れ、日本シリーズ出場はならなかった)。

 2011年に正式に監督に就任した後も小川采配は冴え渡る。最終的には後半戦で息切れし、中日ドラゴンズの後塵を拝し、ペナントレースを2位で終えたものの、一時は中日に10ゲームの差をつけて独走していた。

 いずれにしても、今年のヤクルトの快進撃は小川の名采配により成し遂げられたことは、論を()たない。


 ここで小川の野球人生を(ひもと)いてみよう。確かにプロ野球選手としての実績は目立ったものではない。1981年ドラフト4位で社会人選手としてヤクルトに入団。レギュラーとして定着することはなく、移籍後も含め、11年間さほど目立った実績はない。

 しかし、プロに入るまでの実績には輝かしいものがある。習志野高校三年時には、エースで5番を打ち、甲子園で優勝を飾るのである。

 その後、中央大学に進学、打者に転向して強打でならし、日米野球代表選手として、同じ学年の岡田彰布(おかだあきのぶ)(早稲田大学)、1年下の原辰徳(はらたつのり)(東海大学)とクリーンアップを形成したほどである。

 10年間ヤクルトでプレーした後92年に日本ハムに移籍、翌年引退して3年間のヤクルトのスカウトを務めた後二軍監督に就任。それは、なんと9シーズンにも及んだ。そこで選手育成のキャリアを積み上げた。

 そんな自分のキャリアを振り返りながら、小川はこう語っている。

「スカウトとして選手を見てきて、人間だから欠点はしょうがないと思うようになりました。欠点を指摘することで克服できればいいんですけど、欠点を意識させるばかりに長所が消えてしまうこともありますから」(『人を育てる名監督の教え』中島大輔著・双葉社刊より)


 スカウトとしてプロの卵の発掘に命を懸けた小川の観察眼が、現在の東京ヤクルトスワローズの躍進を支えている。スカウトの仕事とは、現状での成績の良い選手を見つけ出すことではない。その選手の現状を把握した上で、将来性を予測しなければならない。

 いくら甲子園で実績があっても、キラリと光るものがない選手はプロでは通用しない。有能なスカウトほど欠点には目をつぶり、その選手の長所に目を向けることができる。

 欠点はいくら矯正しても平均レベルになることはあっても、決してその選手の長所にはならない。それよりも粗削りな長所をより伸ばすことのほうが、何倍も大切なのだ。

 日本の社会は、これまでなんでもそつなくこなせるゼネラリストを育ててきた。もちろん、この人材はどんな仕事にも適応能力があり、どんな仕事を与えてもある程度の成績をあげてくれる。

 それは言い換えれば、どんな仕事でもある程度の成績しかあげられないということ。その人間の限界である。

 しかし、もはやそれは時代遅れ。器用な、なんでもそつなくこなせる人材だけを集めたチームは、それぞれの持ち味を持つ天才集団には、まったく太刀打ちできない。

 例えば、サッカーのゲームで、ディフェンスもオフェンスも、もっと言えば、ゴールキーパーもすべてそこそこできる11人の選手を集めてチームを構成しても、遊びのサッカーならまだしも、プロサッカーの世界では、到底勝利することなどできない。

 時代は専業化が驚くほど進んでいる。適材適所の原則を貫きながら、ボールを蹴る人間、ボールをブロックする人間、パス回しができる人間が、それぞれのポジションに配置されて、初めて強いチームが構築できる。

 プロスポーツの世界だけでなく、ビジネスの世界でも、なんでもそこそこ器用にできる優等生的な人間はなかなか大成しないようになりつつある。

 これからの時代は、他は何をやらせても半人前だが、これをやらせたら右に出る者がいない人間が活躍できる時代になる。つまりたった一つの「ウリ」のある選手が頭角を現す時代なのである。

 たった一つでいいから、そういう誰にも負けない武器を持つ。それを育てていくのが、リーダーの責務である。

 言い換えれば、その人間の長所を見つけ出すだけでなく、それを徹底的に伸ばしてやることがリーダーの資質として不可欠である。その長所を伸ばすためにアドバイスやフォローを怠らない。リーダーとメンバーの間にそういう関係を作っていって、初めて強いプロ集団が形成できるようになる。

 そのことに関して、小川はこう語っている。

「選手のいい部分をちゃんと探してやらなければと、スカウト時代に感じました。欠点ばかり見ていたらスカウトなんてできません。いいところをいかに見て、伸びる選手を獲得するか。仕事柄、そういうところがいまの立場で活きていると思います」(前掲書より)


 プロスポーツだけでなく、これからのビジネス社会も、長所と長所のぶつかり合いのガチンコ勝負となる。そのためにはなんとしてもメンバーの長所を見つけて、それを伸ばすことにリーダーは腐心しなければならない。


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