二軍監督の9年間、小川は目立たないところで着実に監督の資質を積み上げていった。二軍選手という育成に主眼を置いた指導を経験した小川は、生来の正直で表も裏もないという性格を遺憾なく発揮して、選手と同じ目線に立った指導をひたすら持続させた。
小川ほど気配りのできる人間を見つけることは難しい。チームメイトだった片岡大蔵(現スコアラー)がこう語る。
「本当にまじめな男。ある程度の年齢になれば、自分の練習が終わったら、さっさと帰りますよ。ところが彼は最後まで残って球拾いをしている。それを見た関根潤三監督(当時)が“オマエら、小川を見習え”と褒めていたことを思い出しますね」(二宮清純氏の取材から転載)