2011年11月6日、ナゴヤドームにおけるクライマックスシリーズ・ファイナルステージの対中日ドラゴンズ第5戦で中二日で登板した館山は中日打線を2点に抑え、続く押本、松岡が無失点で力投するも、ヤクルト打線は9回の青木のタイムリーによる1点止まり。対戦成績2勝4敗で10年ぶりの日本シリーズ出場は叶わなかった。
試合後、小川はこう語っている。
「1年を通して吉見にはやられっぱなしでしたし。(1年を振り返って)ここまできて勝ちきれず、これを力の差と受け止めなければいけない。悔しい思いを来年生かせるようにやっていきたい」(公式ホームページより)
リーダーにとって、勝つに越したことはない。
しかし、負けることを避けることは不可能であるし、また負けるのも悪くない。目先の勝ち負けに一喜一憂するのではなく、負けることにより、そのなかから、前向きのヒントを見出し、メンバーを育てる方向性が見つかれば、負けゲームもまんざら捨てたものではない。
反対に、勝ったゲームの中に飛躍のヒントは存在しないと考えたほうがよい。勝って浮かれていると、とんだしっぺ返しを食らって、早晩窮地に陥ることも珍しくない。
負けたゲームの中に潜む飛躍のヒントをつかみとって、メンバーの達成欲求を高めていくことこそ、リーダーにとっての大切な役目。
達成欲求とは、どんな結果に終わろうが、常に高い目標を自分に課し、障害を克服して目標を実現させる意欲のことをいう。
この欲求がヤクルトの選手にある限り、来シーズンも優勝争いに絡むことは間違いない。
シーズンを通して選手を引っ張っていく役割を演じた宮本は、試合後こう語っている。
「ボクがもっと打っていれば展開は違っていたと思う。投手が頑張っていたので何とかしなければいけなかった。経験あるボクがチームを引っ張れなかった」(前掲HP)
この悔しさをバネにヤクルトの選手は一丸となって来シーズンリベンジを誓うはず。来シーズンの小川ヤクルトから目が離せない。
児玉光雄