本番で実力を発揮できる人は、べつな言い方をすれば「いい形で集中できる人」である。
リラックスしすぎれば、緊張が緩んで集中できない。かといって、肩に力が入りすぎれば、硬くなってしまって力が出せない。「いい形の集中」というのは、理想的な調味料の配合のように、緊張とリラックスの微妙なバランスから生まれてくる。
そのバランスの変化がどのような結果に結びつくか?
たとえば、二〇〇五年の大相撲・九州場所では、琴欧州の大関昇進が大きな話題を呼んでいた。大関昇進の条件は、一〇勝。プレッシャーのなかで達成するには、けっしてやさしくはない数字だ。