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死語にしたくない美しい日本語
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雑学
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■■ぜひとも言われてみたいもの…■■

『死語にしたくない美しい日本語』
[編]日本語倶楽部 [発行] 河出書房新社


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一角の人物

 立派な、またはすぐれている人物という意味。「一角の人物とお見受けした」「彼は一角の人物として一目置かれる存在である」「彼は、自分の力を発揮できる仕事を持つ機会にさえ恵まれていたら、一角の人物になっていたに違いない」のように使う。「一角」は、「いっかど」とも読むことがあり、意味は、ふつうよりすぐれていること。際立っていること。ほかに、一人前という意味もある。

目から鼻へ抜ける

 頭の回転が速く、わかりが早いこと。とても利口で、抜け目がないこと。「目から鼻へ抜けるクレバーな人物だった」などと使う。ところが、鼻ではなく耳、つまり「目から耳へ抜ける」という言い方になると、一転して、ものわかりが悪く、なにも覚えていないという意味になる。

 ニュアンスとしては、「右の耳から入って、左の耳へとそのまま抜けてしまう」といったところか。

人品骨柄
「人品」とは、幼い頃からのしつけや本人の努力によって得た見た目の品位や人格のこと。また「骨柄」とは、骨つきのことを表す。これが転じて、品格や風格の備わった男性のことを指すようになった。
「人品骨柄卑しからず」とよくいわれるが、このようにいわれる人は、生まれながらに高貴でありながらも、さらに本人の努力の甲斐もあり、上品な物腰を身につけた人だということになる。ぜひとも、このようにいわれてみたいものである。

端倪(たんげい)すべからず
「端」とは、糸口の意味、「倪」とは、最果てという意味で、「端倪すべからず」で、始めと終わりが見えない。全貌がはかりしれないという意味。「端倪すべからざる人」といえば、スケールがはかりしれないほどの大人物のことをいう。
「彼の行動はまさに神出鬼没、端倪すべからざるものがあった」「五か国語を使いこなしていることだけでも端倪すべからずである」のように使う。

押し出しがいい

 人前に出たときの態度や容姿が立派に見えること。風格があり、堂々としている様子。「彼は押し出しもいいし、話もうまい。次期会長にふさわしい人物だ」などと使う。

 ほかにも「押し」という言葉を使うものに、「押しが利く(人を抑えつける力がある)」「押しが強い(あつかましいさま)」「押しの一手(強引に自分のやり方を通すこと)」「押すな押すな(混雑しているさま)」「押せ押せになる(全体の進行が遅れるさま)」などがある。

眼光紙背(しはい)に徹する
「眼光」とは、目の光、つまり物事の本質を見抜く力という意味である。また「紙背」とは、紙の裏側のことで、つまりそこまで見通してしまうほどの力ということから、文章の解釈にとらわれず、その真意を深く読みとること。読解力が鋭いことをいう。
「課長ときたら、そのことについては、まさに眼光紙背に徹するで、さすがというべきだ」のように使う。「眼光紙背」という物々しい言い方は、初めて耳にした人には、超能力のように響いてしまうかも?

悠揚迫らず
「悠揚」とは、ゆったりと落ち着いている様子。「迫らず」は切迫していないということで、「悠揚迫らず」といえば、切迫した事態や困難な状況にあっても、態度や雰囲気に落ち着きがあり、余裕があるということ。「あの青年はまだ若いのに、いつも悠揚迫らずの雰囲気が漂っている」のような使い方をする。

 同じ落ち着いて動じないさまでも、この「悠揚」や「沈着」「泰然」「自若」は立派な態度をいうが、「平気」「平然」「恬然(てんぜん)」は、ときとして、臆面もなくしゃあしゃあとした態度というよくない意味で用いられる。

堂に入る

 物事が手慣れていて、すっかり身についていること。「習い始めたばかりにしては、彼女の踊りはなかなか堂に入っている」のように使う。出典は『論語』で、孔子が弟子の由の琴の腕前を評して「由や堂に(のぼ)れり、いまだ室に入らざるなり」といったのが由来。「堂」は表の客間、「室」は奥座敷の意。つまり、客間にはたどりついたが、まだ奥座敷には至っていないという評価である。

 というわけで、「堂に入る」は、「堂に升る」と「室に入る」を無理やりつなげた言葉なのである。

押しも押されもしない

 人が押すことも押されることもないほどに、びくともしない様子から、争う余地のない、堂々としている様子を表し、大物の形容として使われる。「押しも押されもしない斯界(しかい)の第一人者になった」など。「押すに押されぬ」「押しも押されもせぬ」ともいわれる。よく「押しも押されぬ」ともいわれるが、これは文法的には間違い。

水際立つ

 目立って、ことさら見事に見えること。海や川などで、鮮やかに見える部分が水際であることから、このようにいわれるようになった。水際である海岸で、よせてはかえす波は特に美しいもの。そんな自然の風景を愛でる暮らしのなかから生まれた言い回しだから、水際をゆっくり眺める余裕を失った生活をしていては気づかない言葉である。「水際が立つ」「水際を立つ」ともいう。「さすがは一流の料理人だけあって、水際立った包丁さばきだ」のように使う。

(ろう)たけた
「臈」とは、仏教用語で、出家が受戒のあと、ある場所にとどまり、修行して功を積むこと。僧侶の位は、この「臈」の多い少ないで決まる。また「たけた」とは、長けたということで、すぐれている、長じているという意味。つまり、その道の経験者として、皆に仰がれること。狭義としては、女性が美しく気品がある様子をいう。「初めて彼の奥さんを紹介されたが、臈たけた奥さんで驚いたよ」など。

()めず臆せず

 まったく恐れたり、気後れしたりしない様子。「一流のプロを前にしても、怖めず臆せずの態度をとれる君は、将来大物になるに違いない」「彼は、初めての試合ということにも怖めず臆せずといった態度で、まったく緊張している様子はなかった」というように使う。

 何事にも「怖めず臆せず」という人は、プレッシャーに強い人というのだろうか。精神的に図太い人間というのだろうか。いずれにしても大物には違いない。

勇み肌

 強きをくじき、弱きを助けるという、荒っぽいが気立てのいい人柄のことを指す。夏目漱石の『坊っちゃん』に、「勇み肌の坊っちゃんだから愛嬌がありますよ」という一文があるが如しだ。ちなみに、「勇み足」という言葉もあるが、これは相撲で、相手を土俵際まで追いつめた勢いで、自分の足を土俵の外に出して負けてしまうこと。転じて、調子に乗り、度を越えてしまうたとえとして使われるようになった。

鯔背(いなせ)

 粋で勇み肌の若者のこと。江戸時代、日本橋の魚河岸では、若者の間で鯔の背に似た(まげ)(鯔背銀杏)を結うことが流行。

 そこから、魚河岸で働く若者のように粋で気っ風のいいことを「鯔背」というようになった。「下町の祭りでは、鯔背な男たちが神輿を担ぐ」のように使う。ちなみに、「鯔」は出世魚で、成長するにつれて、スバシリ(またはオボコ)、イナ、ボラ、トドと名称が変わる。

一枚看板

 江戸時代の上方歌舞伎の表に揚げられていた大きな看板のこと。これは「外題(げだい)看板」ともいわれ、江戸では「大名題」と呼ばれた。この看板には、一座の中心になる役者が描かれたため、これが転じて、大勢いるなかでほかに誇りうる中心人物。

 また、唯一誇れる物事の意味を表すようになった。「一枚看板として脚光を浴びる」など。その歌舞伎の看板では、一枚目の「一枚看板」のほかにも、二枚目に美男役、三枚目に道化役が描かれたため「二枚目」「三枚目」という言葉も生まれている。

四海に並ぶもののない
「四海」とは、四方向の海のことで、天下、世界という意味。つまりこの言葉は、ほかに比べるものがないほどにすぐれているということを表している。「四海に並ぶもののないと謳われている名工だけあって、まことに見事な作品である」のように使う。

 この分野、この社会という意の「斯界」や、地水火風の「四界」と間違えやすいので要注意。また、「四海波静か」という言葉もあるが、これは国の内外が平和だという意味。

世事に明るい
「世事」とは、世の中のさまざまなこと。つまり、「世事」に「明るい」とは、世の中のさまざまなことまで、よく知っているという意味である。類語として、「事に通じる」「世事に長ける」がある。「世事に明るいあなたのおかげで、恥をかかずにすみました」「彼は世事に明るく、社会情勢などにも詳しい」などと使う。

 ちなみに、「せじ」を「世辞」と書くと、いわゆる「お世辞」、つまり相手を喜ばせるために、じっさい以上に褒めるお追従という意味になってしまうので、「世事に明るい」あなたなら、ぜひとも注意しておこう。

実るほど頭の下がる稲穂かな

 稲の穂は、実れば実るほど、その重みで穂先が下がる様子から、学問や徳行(とっこう)を積んだ人ほど、その人柄や行為がますます謙虚になるというたとえ。類語として、「実る稲田は頭垂る」「実の入る稲は穂を垂るる」などがある。

 ちなみに、稲の「頭の下がる」時期は、八月の下旬から十月あたり。その様子をじっさいには見たことのない人も増えているが、こうした生き方の美意識とそれに由来する言い回しは失いたくないものである。


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