「賽は投げられた」
イタリア半島を中心に発展した巨大国家ローマは、大きく「共和政ローマ」の時代と「帝政ローマ」の時代に分かれる。古代史の英雄ユリウス・カエサルは、ちょうどローマが共和政から帝政へ移ろうとする「内乱の一世紀」に活躍した人物だ。
カエサルが活躍した共和政末期のローマは、「元老院」「執政官」「平民会」の三者のバランスによって運営されていた。
「元老院」は、定員三〇〇名の終身議員で構成される執政官の監督・指導機関。「執政官」は、元老院によって選ばれる定員二名・任期一年の行政官で、ローマ市長および共和政ローマの元首にあたる。「平民会」は、平民からなる議決機関で、そこから選ばれる「護民官」(定員一〇名・任期一年)は、元老院や執政官の決定に拒否権を行使できた。