三国時代の幕開け
長い中国史のなかでも、後漢末から、魏、呉、蜀が分立して晋が統一を果たすまでの「三国時代」は、とりわけ人気がある。三国時代には、魏の曹操、呉の孫権、蜀の劉備のほか、数多くのヒーローが登場するからである。
そのなかで、天下統一の寸前までいったのが、魏の曹操だ。のちの『三国志演義』では、主役の座を劉備にうばわれている曹操だが、この時代においてもっとも実力のあった英雄を挙げるとすれば、彼が一番にくる。
曹操が活躍した後漢末期は、外戚と宦官の勢力が大きくなり、大土地所有が進行して、農民の生活がいよいよ苦しくなった時代だった。
そして、184年に「黄巾の乱」と呼ばれる農民反乱が起きると、各地に反乱が広がり、地方の治安は混乱をきわめた。