新国家の出現
ヌルハチは、中国史上に彗星のように現れ、またたくまにその勢力地図を塗り替えた。
彼こそ、後金国の建国者であり、辛亥革命までつづく清朝の初代皇帝に当たる人物である。
ヌルハチは、中国東北地方を原住地とする女真の一首長の子として生まれた。
女真は、12世紀に金(1115〜1234)を建国したツングース系の民族で、元・明の時代にはその支配を受けながら、もっぱら農牧・狩猟の生活を送っていたとされる。
ヌルハチが生まれた頃の女真は、「海西女真」「建州女真」「野人女真」の三つに大きく分かれ、たがいに激しく争っていた。抗争の原因は、明に対する朝貢の権利である。