ハプスブルク家の存亡をかけて戦った女帝
マリア・テレジアは、神聖ローマ皇帝カール六世の長女である。神聖ローマ帝国は、9世紀後半にフランク王国が三分されてできた国のひとつで、10世紀にはオットー一世が、古代ローマ帝国の継承者としてローマ教皇から帝冠を授けられた。
しかし、13世紀末以降、帝国は事実上分裂。15世紀の半ばになると、帝位はオーストリアのハプスブルク家の世襲となった。以後、オーストリアは、ぐんぐん発展していく。
ところが、カール六世の時代、ハプスブルク家に男子後継者がいないという問題が起きた。ハプスブルク家は女子の相続を認めていない。そこでカール六世は、譲歩をしつつ、女子の相続を認める国事詔書を、フランスなどの列強と国内諸侯に認めさせた。