辛亥革命への道
中国のファースト・エンペラーは、秦の始皇帝。以後、王朝はいくつも交替したが、ずっと皇帝が支配してきた。その中国で、最初の大統領(中国語では大総統という)となったのが、孫文。ちなみに、このときできた中華民国は、アジア最初の共和国であった。
孫文は、1866年、広東省の農家に生まれた。一三歳で兄のいるハワイに渡り、西洋思想を知る。しかし、あまりにも西洋思想に夢中になったため、兄と母が心配し、中国に呼び戻される。その後は香港で医学の勉強をしつつ、西洋の革命思想を学び、マカオで医師として開業するが、革命への情熱が失われることはなかった。
この孫文の青年時代は、清仏戦争から日清戦争に至る時期で、すべての戦争に負け、中国人が民族としての誇りを失っている時代だった。