テレビの脅威に勝つため映画会社は大画面で対抗
映画スターのルシル・ボールと、キューバ生まれのバンド・リーダーである夫のデジー・アーナズの主演する『アイ・ラブ・ルーシー』がCBSテレビでスタートを切ったのは1951年10月である。テレビ黎明期のその時期、視聴率はどの番組も平均して高かったが、月曜の夜9時に始まる結婚生活をコメディにした『アイ・ラブ・ルーシー』は、とりわけ大衆を笑い転がらせ、愛された。
1953年の1月のある夜には5000万人の目をブラウン管に吸いよせたが、それは同じ月に行われたアイゼンハウアー大統領の就任式の視聴率を上回るものだった。この年、ルシルとデジーはCBSと30か月間の新たな契約を結んだが、それは800万ドルという映画スター顔負けの額だったから大きな話題になった。