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戦国の妻たち
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歴史
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乱世の中を、妻たちはいかに生きたのか――まえがき

『戦国の妻たち』
[著]鈴木亨 [発行] 河出書房新社


読了目安時間:2分
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 歴史の本をひもといてみると、女性の実名が知られる例はおどろくほど少ない。公家や武家の系図などほとんどが「女」と記されているだけである。結婚してからも実家の姓をとって「〇〇氏」となるか、髪を下ろしてからの院号「〇〇院」でよばれている。

 しかし、それでも戦国時代には、実名を知られる女性が他の時代にくらべて圧倒的に多い。このことは、戦国時代が日本の歴史の中で女性がもっとも存在感のあった時代だったことを物語っているように思える。

 古代には女性が太陽であり、平安時代には女流文学者が輩出(はいしゅつ)したといわれるが、彼女らは一握りの上流階級の女性にすぎない。それにひきかえ戦国時代には多くの女性たちが多様な生き方をみせてくれている。

 たとえば豊臣秀吉の妻お()である。尾張の足軽の娘が、夫の出世にともなって関白夫人の北政所(きたのまんどころ)となり、ついには(じゅ)一位・准三后(じゅさんごう)という目もくらむような高位に上りつめた。戦国という特殊な時代でなければ、こうした現象はけっして起こらなかったはずだ。

 しかし、物事には明と暗がある。陽の当たる道を生きた北政所とは対照的に、戦国時代に生まれ合わせた悲劇を背負って生きた女性たちも少なくない。いや、そのほうが多かったといえるかもしれない。

 北政所の周囲をみても、秀吉の姉・ともは息子秀次(ひでつぐ)が理不尽に切腹に追い込まれ、秀吉の妹はその生涯を兄秀吉の政略の道具として利用された。

 政略結婚や人質として他家に送られ、哀れな末路を辿った女性が多いことは無数の事例が示している。

 そうした乱世の中でも一方ではしたたかに生きた女性も少なくない。賢夫人として名高い山内一豊(やまのうちかずとよ)の妻などが好例だろう。夫に名馬を買わせるために大事なヘソクリを差し出したというエピソードは広く知られている。

 夫に隷属(れいぞく)するのではなく、逆にリードする生き方をした女性もいるが、それなどきわめて現代的である。

 この本では、戦国という乱世での多種多様な女性の生き方を探ってみた。そこには現代の女性たちの生き方の参考になる部分もあることだろう。
鈴木 亨 
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