読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-1
kiji
0
1
1021073
0
シネマと鉄道 映画にみる駅の風景70選
2
0
1
0
0
0
0
エンタメ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
「逢びき」(1945年/イギリス/デヴィッド・リーン監督)

『シネマと鉄道 映画にみる駅の風景70選』
[著]臼井幸彦 [発行]近代映画社


読了目安時間:3分
この記事が役に立った
1
| |
文字サイズ


 恋愛が主題になることが多い映画だが、特に駅が舞台になると、プロローグで述べたように、恋愛も、幸せな恋よりも、悲恋や不倫愛など複雑で悩ましい恋がよく似合う。それは駅の空間には、集散する人々の喜びと悲しみ、希望と失意など様々な想いが交錯し、織り成され、悩ましい恋にふさわしい生々しい息づかいがあるからだろう。

 最近の週刊誌やテレビのワイドショー番組では、不倫愛を極めて通俗的に扱う傾向が目立っている。単に不倫というと、どこか軽薄な感じが否めないが、映画では、禁じられた恋、悩める恋として、男女間の真剣でかつ深刻なテーマとして扱っている例が多い。

 その代表的な映画として、古くは巨匠デヴィッド・リーンの名作「逢びき」が挙げられる。舞台はロンドン郊外のミルフォード駅。映画の舞台となる西欧の主要駅には行き止まりの線路と櫛型のホームが特徴の頭端式の駅が多いが、ここでは日本の駅に多い通過式の中間駅。線路は駅を貫通し、ホームは細長い長方形である。映像としての鉄道は駅と列車で構成される。白煙を吐き、けたたましい汽笛吹鳴とともに駅を通過するSL列車、通過式の駅特有のホームと駅舎を結ぶ地下道とスロープ、地下道の陰での別れのキス、駅のビュッフェに聞こえる通過中の急行列車の轟音とホームに流れる車窓の明り……日本人には馴染みの深い駅の映像と音響が印象的である。

 善良なサラリーマンの妻ローラ(シリア・ジョンスン)は毎週木曜日、ミルフォードの街に出かける。一週間分の買い物をし、午後は唯一の楽しみである映画などを一人観て、ゆっくりくつろぎ列車で家路につく。ごく普通の主婦として、こんな平凡な日常を繰り返していたローラが、駅のビュッフェで目に入った煤を取ってもらったことから医者アレック(トレヴァー・ハワード)と知り合い恋に落ちる。ローラは駅を境にして日常の世界から非日常の世界に足を踏み入れる。そして、越えてはならぬ一線を一旦は越えようとした二人だが、互いに自責にかられ、思いとどまり別れることを決意する。打ちひしがれて家に帰り、日常に戻ろうとするローラを良人はすべてを察知していたのか、何事もなかったかのように、優しく迎え入れる。

 全編にラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』が重く切なく流れ、恋の哀歓が心に沁みる。ローラの日常と非日常のインターフェイスとなったミルフォード駅のシーンは実際にはランカシャーのカーンフォース駅で撮影されている。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
1
残り:0文字/本文:1012文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次