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100万人の映画教室(上) 私の愛する映画たち
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エンタメ
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こわい映画が私に教えたこと

『100万人の映画教室(上) 私の愛する映画たち』
[著]淀川長治 [発行]近代映画社


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「猫化け」がこわかった。七歳ころ。大正五年(一九一六)ごろ。

 映画を見てこわがらされたのはこれが最初だった。もちろんキャットなんかが人間に乗り移るのだから西洋ではない。

 日本の尾上松之助の時代劇。これを旧劇と当時は呼んだ。日本はどういうわけか猫や狐が人間に乗り移る。蛇が人間の女になって男を誘うのもあるが、これは中国ダネだと思う。

 そんなわけで「猫化け映画」に幼年時代はこわがらせられ、しかも……それがとても好きだった。面白いよりも好き。

 この好き……というのが問題。こわいのに見たい。人間の弱点と言うか人間の面白さか。
『見たであろう』老女がいましも部屋に入ってきた若い女の召使いにそうたしかめる。この老女は猫が乗り移っている。人間の姿をしているが猫なのである。

 それで誰もいないときを見はからって、部屋のすみの行燈(あんどん。四角な木のわくに紙を貼り、中に油受けを置いて火をともしたもの)に首を突っこんでペロペロと油をなめる。そのときその老女のプロフィル(横顔)が行燈の紙に影を作る。

 その影が老女の影でなく猫の横顔。猫のヒゲ、猫の耳、それが舌を出してペロペロと油をなめている。
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