読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
50
kiji
0
0
1025442
0
映画批評真剣勝負 ぼくが映画に夢中になった日々《作品鑑賞篇》
2
0
0
0
0
0
0
エンタメ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
柔らかい肌 La peau douce

『映画批評真剣勝負 ぼくが映画に夢中になった日々《作品鑑賞篇》』
[著]荻昌弘 [発行]近代映画社


読了目安時間:11分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 無責任な(はた)の目から見れば、それは、下卑た忍び笑いで語られる情事のスリルにすぎまい。世間に名も通った中年の文芸評論家が、妻子もある身で、若く美しい旅客機のスチュワデスと恋に落ちた――。悪友たちが知れば、酒場で欠席裁判のサカナにする話だ。野郎あんな虫も殺さねえ(つら)で案外手は早かったな。ともかく、うめえことしやがった。ただ、細君にめっかったらコトだぜえ。

 果せるかな、当の妻は夫の不貞を見抜いてしまい、評論家は騎虎の勢いで離婚へ踏切る。しかし、ことは甘く進みはしないのだ。女の心は飛び去り、そして夫婦は……最悪の結末で新聞種となる。――悪友は、また杯を間にして言うに違いない。野郎、大体ヘマだったよ。馴れてなかったな。オレだったら完全にシラあ切ってみせたなァ。だけど気をつけなよ、おめえ。そして男たちは、まわって来もしない色っぽいケースの予感に、うひひひと声を揃えて忍び笑うのだ。

 笑ってもいい。それは或る意味で、世間から笑われて仕方のない事件だ。分別をもって行動すべき三人の成年インテリが、三人とも理性を失った、という点で。しかし、とフランソワ・トリュフォ監督は彼の新作「柔らかい肌(ラ・ボー・ドゥース)」(註)で言う。責任のない世間は笑え、しかし、この当事者三人の、いったい誰が、事件に巻込まれたあと、笑えたろう、と。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:4778文字/本文:5345文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次