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あの世がわかればこの世が変わる
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生き方・教養
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樹齢7200年の生命

『あの世がわかればこの世が変わる』
[著]中島孝志 [発行]ゴマブックス


読了目安時間:2分
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 屋久島には一ヵ月間に四〇日も雨が降る。


 この屋久島は鹿児島県に属し、鉄砲伝来の地であり、宇宙ロケットの打上げ基地で有名な種子島の少し南西に位置している。島民はまん丸い形をした島の外縁部分で生活を営んでいる。海抜〇メートルから一挙に一九三五メートルの頂上まで切り立った、とんがり帽子の島は、その深奥には古今、人間を容易に寄せつけては来なかった。


 おかげで、この島には樹齢一千年を越える屋久杉が豊富に残った。なかでも樹齢七二〇〇年、世界一といわれる〝縄文杉〟は、宮之浦岳から悠久の存在をわれわれ人類に静かに語りかけてきた。


 もの言わぬけれども圧倒的な迫力は、地球を取り巻く諸問題のシンボルともなり、昨年、世界遺産条約にノミネートされる対象ともなった。


 縄文杉自身は、この七二〇〇年間にわたる人類の科学と文明の発達の歴史をどう感じてきたのだろうか。



 私は毎年九月、縄文杉と語るために宮之浦岳に登る。九月に入れば、全国からの登山客も急に少なくなり、一日四パーティーが登る程度でラッシュアワーもない。幸運なことに、登山中、雨に降られたこともない。


 登り口からしばらくの単調なトロッコ道の後には獣道が続く。この獣道では両手をフルに使って、バランスを取りながらよじ登らねば前に進むことができない。


 膨大な雨は山肌に染みわたり、自然にできた小川は縦横無尽に流れ、屋久杉には苔がむし、緑がかった山をより一層、緑深く映す。


 大人の足であれば、五時間もあれば頂上近くの縄文杉にたどり着いてしまう。



 この樹齢七二〇〇年もの樹が歴史のなかで切られずに残っていたことも、日本史のなかで考えてみれば不思議なことである。しかし、理由は簡単である。


 宮之浦岳があまりに急勾配であるために、たとえ杉を切ったところで、麓まで運べなかったからにすぎない。人類の叡知で残した遺産ではなく、結果として図らずも残ってしまったのだ。だからこの島では、台風が過ぎると島民は船を漕いで海に出る。風で飛ばされ、海に浮かんでいる杉の木切れを拾うためである。「木は海で採れる」、そういう歴史が屋久島にはある。島では稲作がむずかしかったため、島津藩も唯一の産物である杉の皮を税として納めさせてきた。瓦を拭く時に一番いい素材で、城を築く時に重宝したという。



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