最近のアメリカ映画には原作ものが相当多くなってきた。たとえばグレース・ケリー、スチュアート・グレンジャー主演の「緑の火・エメラルド」はアイヴァン・ゴッフとベン・ロバーツのオリジナル・シナリオだというふうに紹介されているが、これは地図入りの実話冒険小説で、一九四二年にピーター・レーニアという作家が発表したもので、小説の題も映画と同じく「グリーン・ファイヤ」となっていて、非常によく売れ、版を重ねたものである。
こうした冒険小説は、むかしからイギリス人が書くのが巧く、たとえアメリカ人のほうが体験は豊富であっても、それを生かす想像力に欠けているので、報道記事以上のものにはなかなかならない。