イタリアが戦後において世界の注目を引いたのは、何といってもネオ・リアリズム映画がきっかけであり、ついで外国人の興味はイタリア文学へと向かうようになった。ちょうど日本映画が外国で注目の的になり、二年ほどして文学にも好奇心が向けられるようになったのと同じ現象である。
現在のイタリア映画界を見ると、一流作家が映画と関係している率は、世界的に見て最低パーセンテージを示している。戦後の有名な小説で映画化されたものにジュゼッペ・ベルトの「空は紅い」、リカルド・バッケリの「ポー河の水車小屋」、最近ではアルベルト・モラヴィアの「ローマの女」などがあるが、その数はいたって少ない。