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植草甚一WORKS2ヒッチコック、ヒューストンら監督たちについて
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映画芸術家研究 キング・ヴィダー物語 第一回

『植草甚一WORKS2ヒッチコック、ヒューストンら監督たちについて』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:14分
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キング・ヴィダーの少年時代

 キング・ヴィダーは、テキサス州のガルヴェストンという町で生れたが、十歳をむかえた夏、初めて水泳の稽古を受けた。まだ泳げないヴィダー少年が、海へ突き出た桟橋のうえに立っていると、向こうのほうの跳込台のまわりで大勢の人間が泳いでいるのが見える。

 このときヴィダー少年の眼に面白くうつったのは、跳込台からダイヴィングしている人たちの動作であった。跳込台は上中下の三段になっていて、一番うえから飛び込むのを見ていると、空間を落下する運動状態に、何となく音楽的なものを感じさせる。たとえばワルツの旋律のようだ。そう思って眺めていると、下の脚台からバチャンバチャンと大勢が跳び込んでいるのは、ヴァイオリンのピチカートを連想させる。まんなかの五フィート台では、跳び込もうとして怖気がついたり、怖いのを我慢して跳び込む者などがいて、ユーモアを感じさせる。ヴィダー少年は、これも音楽的だと思いながら、じっと眺めていたのである。

 このとき、十歳になる少年が漠然とではあるが、新しく発見したのは、運動と音楽との関係であった。そしてキング・ヴィダーが映画を作るようになってからは、これが非常に重要な演出上の基礎になったのであるが、跳込台の光景に眼を引きつけられていたヴィダー少年は、まだ映画というものをまったく知らなかったのである。

 彼が最初に見た映画はジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」で、十五歳のとき、ガルヴェストンのオペラ・ハウスで特別上映された。二人の友達と一緒に見にいったヴィダー少年は、いったいどうして映画は出来るのだろうかと考え、三人がまた一緒になって首をひねった。このとき彼は写真技術で出来るのだと言ったが、友達は二人とも一齣一齣を書いていくのだと主張してゆずらない。
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