読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
150
kiji
0
0
1027843
0
植草甚一WORKS2ヒッチコック、ヒューストンら監督たちについて
2
0
0
0
0
0
0
エンタメ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
映画芸術家研究 キング・ヴィダー物語 第二回

『植草甚一WORKS2ヒッチコック、ヒューストンら監督たちについて』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:17分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


ハリウッド目指して

 キング・ヴィダーがハリウッドへ行こうと決心したのは一九一五年で、彼は十九歳になっていた。フローレンス・ヴィダーは、このとき十七歳。テキサスの南部からハリウッドへ行くには一ヶ月以上かかるし、当時はまだ道路が鋪装されていなかったから、途中で何が起こるか分からない。フォード車を買ったまではよかったが、肝心の路銀が残っていないので困ってしまった。

 父親にせびれば、うんよしと言って都合してくれたかもしれないが、ヴィダーはそれが嫌だった。それで残された方法は一つしかない。映画を作って売込むことである。というのはフォード自動車会社が宣伝のために旅行映画の短篇を製作し、これを無料で映画館に貸付けていたのである。ヴィダーはハリウッドへ行く途中で面白い景色をうつし、それにフォード車が走っている場面をうまく入れて売込もうと考えた。そして、なけなしの金でエルネマン・カメラと質流れの三脚を買って出発した。同行者は妻のフローレンスとクリフォード・ヴィックという青年。この青年はヒューストンのクロニクル新聞社でボーイをしていたとき、ヴィダーと仲よくなったのである。

 ところでフォート・ウォースへ差しかかったとき、テキサス沿岸をよく襲う旋風に見舞われ、やがて豪雨になったので先へすすむことが出来なくなり、しかたなく安ホテルを見つけて泊った。それまでは野宿していたのである。一夜が明けると、暴風雨はおさまり、そろそろ出発しようかと思いながら新聞に眼を通していると、自動車泥棒の記事が出ている。最近フォート・ウォースでは自動車が頻々として盗まれるということを記事で知ったヴィダーは、こいつはしめた、自動車泥棒のドキュメンタリー映画が出来ると考えた。

 そこで自分のフォード車を安ホテルの近くに乗り捨てたようにし、トランクなどをわざと見えるように積んだうえ、キーもスイッチに差し込んだままにしておいて、仲間のクリフォードを街角で見張らした。そしてヴィダー自身は安ホテルの二階の窓際にカメラをすえてから、自動車泥棒が出てくるのを手ぐすね引いて待ちかまえた。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:7138文字/本文:8011文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次