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植草甚一WORKS3気になる男優たち、そして映画界の動向
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エンタメ
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初めて公開された世紀の名優ローレンス・オリヴィエの伝記 1

『植草甚一WORKS3気になる男優たち、そして映画界の動向』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:21分
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 ローレンス・オリヴィエの経歴を調べてみると、俳優には珍しく父親が牧師である。そして家系を調べてみると、祖先から代々に渡って聖職にたずさわっている。こういう家柄なのにオリヴィエが俳優になったという動機には、まず第一に彼の父親が芝居好きだったということが手伝っている。このことは、まだ知られていなかったし、オリヴィエが子供だった頃の話は非常に面白いので、祖先のことから順を追って、ゆっくり書いてみることにしよう。

 十六世紀の初めであった。フランスとスペインの国境をなすピレネー山脈の(ふもと)近くにネエという小村があり、このフランス最南部の人里離れたところで、ユグノー教徒であるオリヴィエ家の祖先が暮していた。彼らはもとパリで暮していたのであるが、アンリ四世によって新教の自由がゆるされたナント条約がまた破棄されると、旧教側から迫害され、それで小村ネエへと避難してきたわけである。もっとも、この当時のオリヴィエ家の人たちの多くはオランダへと亡命し、そこから南アフリカへ伝導事業に行ったと言われているが、ローレンス・オリヴィエの直接の祖先にあたるジュルダン・オリヴィエ師は、この小村ネエで生れ、そして一六八八年にイギリスに渡ってオレンジ公ウィリアム三世の側近者となったのである。彼はイギリスに来る前にアンヌ・デイという美しい娘を妻に迎えていた。

 この二人の間に生れたジェロームも聖職にたずさわることになり、フランスの女性を妻にめとった。そして、この二人の間に生れたダニエル・ジョージア・オリヴィエもフランスの女性と結婚したが、彼女はルイ十五世に仕えた宮廷画家として有名なジャン・バプティスト・マッセの姪にあたる才媛であった。この画家が描いた細密画(ミニアチュール)の多くが、ローレンスの従兄にあたるウィリアム・オリヴィエによって保存されている。

 ところでダニエル・ジョージア・オリヴィエという祖先は、家系における最初の異端者であって、聖職から離れてダイヤモンド商人となり、またたく間に財産を築きあげて、ロンドンでも指折り数えられるくらいの人物になった。しかし血筋は争えないもので、このダイヤモンド商人の息子ダニエルがまた牧師となり、牧師の娘を妻にえらぶことになったのである。

 ローレンス・オリヴィエの父親ジェラール・カー・オリヴィエは、このダニエルから数えてさらに三代目にあたる。この間にイギリス王家に仕えて武勲を立てた幾人かの祖先もいるが、たいていは神に仕えることを天職としたのであった。そしてジェラールもまた父親ヘンリーのあとを継いで、ウィルトシャー州プルショットの教区長をしていたのである。
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