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植草甚一WORKS4この映画を僕はこう見る
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エンタメ
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戦争と人間と愛と死についてこれほど強く深く訴える映画はなかった「鍵」について

『植草甚一WORKS4この映画を僕はこう見る』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:11分
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新しい映画の次元

 一九五二年のことだったが、オランダの作家ヤン・デ・ハルトーグの「遥かなる岸」という小説が世界的ベストセラーとなって注目を浴びた。日本には紹介されなかったが、アメリカでも評判になるとポケット・ブックが出たので、読んだ人は相当にいた。私の友人も、この作品に惚れ込んでいたのを、いま思い出すのだが、第一部が「戦争」、第二部が「平和」となっている二部作であって、最初は別々に発表された。

 この第一部が「鍵」であり、イギリスに原作が紹介されたときには「ステラ」という題名で単行本になった。そして、キャロル・リードの作品が撮影進行中、最初は「ステラ」となっていたが、途中で封切題名が「鍵」に変更されている。大胆な題名であり、暗示性に富んでいるが、これがまた映画の性格とぴったり一致することになった。

 もともとキャロル・リードはリアリズム派の監督である。これに詩的な映画表現とか幻想的な雰囲気描写が加わって、彼の個性の一部が形成された。ところが、この「鍵」では、リアリズムに加わっているものが、ほとんどすべて暗示的表現であり、リードは新しい次元の映画的世界へ入り込んでいる。といって、この暗示的表現は、見る人の気持によって効果を生み出す特殊な性質のものであり、見えているものはリアリズムによる描写そのものである。
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