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「まっすぐだよ」。不気味なタクシー運転手はいった。
しつこいくらい、何度もそう叫んだ。
そこには一体何があるというのか?
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〈だれかがじっとこちらをみている〉
霊感の強い大学生の愛子(二一歳)が、そんな不気味な霊の気配を感じたのは、同級生で恋人の健一(二二歳)と甲府の近辺をドライブしていて、道に迷ったときのことである。
地図の上では一本道なのに、なぜか同じところを四回もぐるぐるまわって、毎回S駅に出てしまい、やっとまだ通っていない道をみつけたと思ったら、今度は古いお墓のならぶ薄気味悪い山道――。