*
警察官として一〇年のキャリアを持つ真子。
久しぶりの休暇で旅に出た彼女に、
どこからか忍び寄る不審な男の影が…
*
真子は短大を卒業してから、あっという間にすぎ去った一〇年間を思いやった。警察官としてのキャリアも一〇年をむかえたことになる。
そこで彼女は、自分自身へのほうびとしてヨーロッパへ旅行に出かけることにした。
勝手気ままな一人旅である。顔をみるたび早く結婚しろという口うるさい両親のプレッシャーから逃れ、将来について、じっくりと考えたいとも思っていた。
スイスの山中にある小さな宿に滞在したときのこと。