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入院すると無性に外食したくなる。
そんなとき、病室の窓がスーッと開いて、
誰かが好物を差し入れてくれたら…
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「どうしよう。おなかはペコペコだし、一人では外へ出かけられない。なにか買ってきてくれる人もいないし。それにしても腹減ったなあ。もう我慢できない!」
夜中近く、病院のベッドの上でもんもんとしているのは倉田昭夫氏(三二歳)。彼は東京のコンピュータメーカーに勤めるバリバリの営業マンである。
午後三時ごろ、仕事で顧客先に出かけ交差点を歩きはじめたところで、なにかが勢いよくぶつかってきて、意識を失ってしまった。