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植草甚一WORKS5フランス映画の面白さを語ろう
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エンタメ
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マルセル・カルネ演出の本質的なものを知るうえで絶対に見逃すことの出来ない「嘆きのテレーズ」 Therese raquin

『植草甚一WORKS5フランス映画の面白さを語ろう』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:13分
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「嘆きのテレーズ」は、マルセル・カルネの「愛人ジュリエット」につぐ作品であり、去る十月のヴェネチア映画祭に出品されて「雨月物語」と同じくサン・マルコ銀獅子賞をあたえられた。この映画祭では、サン・マルコ金獅子賞をあたえるにふさわしいグラン・プリ作品がなかったといい、六ヵ国の映画に六つの一等賞があたえられたのであるが、このことから「嘆きのテレーズ」がマルセル・カルネの最近作のなかで、ことによると、それほどすぐれた作品ではないかもしれないという懸念が、見る前にあった。

 しかしながら、こうした懸念は「嘆きのテレーズ」がスクリーンにうつし出されると間もなく吹き飛んでしまい、ただただ感嘆しながらスクリーンを見つめるだけであった。マルセル・カルネの映画作家としての本質が、これほどよく感じられたことはなかったし、ただ一箇所、それは最後のほうで脅迫者である水兵あがりの男が安アパートに泊って、部屋で女中と話す場面の構図の取り方であるが、ここをのぞくと、あとのショットの一つ一つが最初から最後まで、まったくカルネ的に演出されていて、文句のつけようがないのである。映画の表現力の可能性を追求していった彼が、ここまで純粋になり切ってしまったかと、見終ったあとで考えてみると、一種恐ろしい気持までがしてくる。

 だが、こうした感傷的な気持になって喜んでいたら、最近におけるフランス映画のよさは、かえって分らなくなってしまう、と言っていい。「嘆きのテレーズ」は、この間のフランス映画祭のときに初めて特別公開されたが、このとき一緒に上映されたクレールの映画にしろ、クルウゾオの映画にしろ、カイヤットの映画にしろ、好きになって惚れ込んでしまうのはいいが、それと同時にただ感傷的な気持になって喜んでいたって始まらない。
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