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植草甚一WORKS6イタリア映画の新しさを伝えたい
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エンタメ
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ロッセリーニの新作「ヨーロッパ一九五一年」について

『植草甚一WORKS6イタリア映画の新しさを伝えたい』
[著]植草甚一 [発行]近代映画社


読了目安時間:19分
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 ロベルト・ロッセリーニの最近の作品は、公開される度に、賞める人よりも貶す人たちのほうが多くなってきたようである。バーグマン主演の「ストロンボリ」(四九)などは、期待が大きかったせいか、ほうぼうでさんざんに叩かれたものである。「神の道化師、フランチェスコ」(五〇)もパリで公開されたときは、とても評判が悪かった。私はロッセリーニ贔屓なので、このときは非常にがっかりしたが、最近この作品がアメリカで公開されると案外に評判がいい。それで、何となく元気が出たが、今度の「ヨーロッパ一九五一年」は果してどんな出来ばえかといろいろと気になった。案の定、近着のヴァラエティ誌の批評を読むと、とても退屈な作品だときめつけてある。ただ主演のバーグマンだけは、いままでの彼女のなかで不思議なくらいに一番いいと付け加えてあった。しかし私はヴァラエティの批評を読む前に、もう一つの批評を読んでいて、これが非常に賞めているので、別にがっかりしなかった。また始まったなと思っただけである。

 この批評はニューヨーカー誌に載ったもので、同誌の海外特派員ジュネがヴェネチア国際映画祭に出品されるのに先立って見たときの印象を綴ったものである。「ヨーロッパ一九五一年」は九月に開催された映画祭の最終日に上映されて監督賞をあたえられた。バーグマンは演技賞をあたえられかけたが、イタリア語を喋る場面がほかの俳優のダビングになっているため反対者が出て駄目になってしまった。このジュネの批評は、作品の輪郭を知るうえで興味深いので、以下に紹介してみることにする。ジュネという特派員は非常に学識に富んだ人で、ヴァラエティの記者などくらべものにならないのである。


 ロッセリーニの新作「ヨーロッパ一九五一年」は、おそらくまた賞める者と貶す者との間で、うるさい問題を引き起こすに違いない。筋はだいたい次のようなものだ。

 外国生れのイレーヌは、戦後のイタリアで金儲けしたアメリカの実業家の妻である。この良人は見たところ陰気くさい。そしてイレーヌには十三歳になる息子がいるがシェルショックのため精神に異常を来たしている。イレーヌにとっては、それが心配の種であるが、社交上いつもディナー・パーティに引張り出されるので、つい息子の面倒がおろそかになる。そうしたあるとき、息子が階段から飛び降りて怪我をした。
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