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自己暗示術
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生き方・教養
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五 心がまえが活力を生む――態度による自己暗示術

『自己暗示術』
[著]多湖輝 [発行]ゴマブックス


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72 人は、地位によってそれらしくなるのではなく、それらしくふるまうことでその地位に近づく。



 ベルリン・オリッピックの三段跳びで世界新記録を立てて優勝した()(じま)(なお)()氏は、『私をささえた一言』という本のなかでこんなエピソードを語っている。氏はオリンピックに先だつ国内の競技会のまぎわ、出場を断念するほどの自信喪失に陥ってしまった。そこで、かねてから指導をあおいでいた()(くも)(むね)(とし)という人に、このことを相談すると、「世界の王座をねらうつもりならば、(てん)(しょう)(てん)()(ゆい)()(どく)(そん)という気概を持て。萎縮は禁物だ。試合場に臨んだら、ゆうゆうとして王者のごとくふるまえ」とさとされ、この一喝のおかけで自信を取り戻すことができたという。


 エネルギッシュな活動で有名だった評論家の故(おお)()(そう)(いち)氏は、つねに若者と親しくつきあい、若者らしくふるまうことで、若々しい活動力を維持していたようだ。


 よく、人は成功者を見て、「さすが成功者らしいふるまいをする」と言うが、じつは、これらの例からもわかるように、人間とは、現在おかれている地位や、持っている能力によってそれらしくなるのではなく、それらしくふるまうことによって、その地位や能力を獲得できるという一面を持っているのだ。この章では、このように、人間のふるまいや日常生活上の態度が、その人の心にいかに大きな暗示効果を発揮するかをお話ししよう。



 人は名誉を得るに先だって苦痛を受けなければならぬ ――ユダヤ王 ソロモン


73 失敗しそうなときは、喜ばしい結果を視覚化すると、自信がつく。



 仏教では、現世の不幸を忘れて、生きる意欲をわきたたせるため、来世に「(ごく)(らく)(じょう)()」という蓮の花の咲き乱れる美しい場所を設定した。この思想が長いあいた庶民のなかに生きてきたのは、宗教の力と同時に、未来を具体的に視覚化した強烈なイメージの力によるところも多いようだ。つまり、喜ばしい未来を「視覚化」することは、私たちの心を奮い立たせるのに、おおいに役立つのである。たとえば、失敗しそうな気がして不安なときや、気分が滅入って先へ進めなくなったとき、未来の状態、とりわけ喜ばしい結果を心のなかに思い描いてみる。しかも、目の前に見えるように、こまかく情景を視覚化してみるのだ。


 すると、目標はより具体的で実現可能な形になり、早くそこまでたどりつきたい、成功したいという欲求が生まれ、それが失敗の不安を取り除いてくれる。つまり、擬似的に成功を体験したような心理状態になり、「実体験」に自信をもってのぞめることになる。


 たとえば、大学試験のまえなら、合格発表で自分の名前を発見した瞬間、お祝いの電話がかかってくる光景、周囲の人の喜びの表情などを思い描いてみれば、勉強への意欲も一段とわいてくるというわけだ。


74 失敗を失敗に終わらせないためには、「過剰訂正」をするといい。



 人間は、だれでも失敗するし、失敗すれば当然、精神に動揺をきたすだろう。もし、この動揺が大きければ、思い出すのもいやという状態になりがちだが、失敗した人が、単にそこから目をそむけ、忘れようとしかしないなら、失敗は単なる失敗に終わってしまうだろう。そうならないためには、まず失敗を直視し分析し、誤りの箇所を訂正しておく必要がある。といっても、けっして精神訓話をしようというのではない。これは、失敗を繰り返さないためのテクニックの一つなのだ。


 たとえば、プロ野球で降板させられた投手が、よくベンチの最前列に坐らされて、試合経過を観戦するように言われたり、ブルペンであらためて投球練習をさせられたりするのも、この訂正のチャンスを与えるためといっていい。


 私も、大学の期末試験が終わった直後、まだ学生たちの頭のなかに試験問題の記憶がなまなましく残っているうちに、その問題の正解を発表することがよくある。これも、失敗した人に自分の失敗を直視し、すぐその場で頭のなかを訂正してもらいたいからだ。


 失敗は、もちろんこれだけでも、将来の糧になり、自信培養に役立つが、ビヘイビア・モディフィケーション(行動修正)の理論にある、「過剰訂正(オーバー・コレクション)」という考え方を取り入れると、失敗からより多くのものを獲得できるだろう。


 たとえば、降板させられた投手なら、打たれた球筋を訂正しながら、試合でそれまでに投げた投球数より多くの投球練習を行うとか、試験の答えをまちがえたら、頭のなかでその誤りを訂正するだけでなく、べつの類似の問題をやってみるとかして、ふつうの訂正以上のことを自分に命じるのだ。こうすれば、失敗のおかげで、自分をさらに高めるチャンスが与えられ、失敗のたびに自信をつけられるから、まさに、失敗を「成功の母」とすることができるのである。

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