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香港動乱、中国敗れたり 【Voice S】
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政治・社会
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香港動乱、中国敗れたり 【Voice S】

『香港動乱、中国敗れたり 【Voice S】』
[著]日高義樹 [発行]PHP研究所


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香港動乱、中国敗れたり


日高義樹 

香港動乱、中国敗れたり 目次

キッシンジャー博士への三つの問題提起
天安門事件の再現で再び歴史を捩じ曲げるか
中国海軍大増強は万里の長城的思考である
終焉するG2とオバマの時代
新しい日米同盟でアジアの秩序を構築する


キッシンジャー博士への三つの問題提起




 四十二年前の一九七二年二月、ニクソン大統領と共に中国の首都北京を訪問し、当時、世界から孤立していた中国を国際社会へ引き出したヘンリー・キッシンジャー博士は九十歳を超えていまなお健在で、世界の新しい動きを予測する新著『ワールド・オーダー』を世に問うている。

 この新著のなかでキッシンジャー博士は、アメリカが超大国であるかどうか不分明になった現状のもとでイスラムが台頭し、勢力均衡というヨーロッパ的な国際秩序が崩れつつあると述べている。

 アジアでは中国の動きに注目し、紀元前二二一年に秦の始皇帝のもとに確固とした政治体制をつくり上げ、数多くの動乱を切り抜けたあと近代国家としての立場を安定させて、人類の将来に強い影響を及ぼすであろうと予測している。

 私はキッシンジャー博士の回想録をNHKでテレビ化したのをはじめとして、テレビ番組のために三〇回以上インタビューし、年頭のインタビューではその年、世界で何が起きるかを予想してもらった。歴史学者として碩学(せきがく)(ほま)れが高いだけでなく、アメリカ政治の責任者として世界を動かしてきたキッシンジャー博士は「秩序」をことのほか大切にしている。二千年以上も前に、政治の秩序をつくり上げ国家を維持してきた中国に期待しているのである。だが私は中国について、次の三つの問題を提起したいと思う。

 第一は、香港で学生たちが繰り広げている反体制的な行動が引き起こす、中国の政治体制の危機という問題である。

 第二は、中国が全力を挙げて取り組んできた海軍の増強が失敗に終わり、石油などの天然資源を外国から中国に輸送するためのシーレーンの確保が失敗に終わる公算が強くなっていることである。

 第三は、孤立した中国を国際社会へ引き出したアメリカが、オバマ大統領のもとで、中国とともに世界を動かそうという、いわゆるG2体制を整えたが、東シナ海の尖閣列島、南シナ海の島々をめぐる中国の侵略的な行動にアメリカ国民が反発しはじめていることである。この問題は、この文章が皆さまの目に届くころに結果が明らかになるアメリカの中間選挙に表れているはずである。


天安門事件の再現で再び歴史を捩じ曲げるか




 九月から始まった香港の学生たちの反政府行動は、この原稿を書いている十月二十日現在、収束の目途がつかないまま続いている。私が首席研究員を務めているハドソン研究所の中国専門家は次のように述べている。
「香港に集まっている学生たちは北京政府の共産主義体制に反対して民主的な行政長官の選挙を要求している。だが、それを認めれば中国国内で同じような要求が起きる。学生たちの要求は中国の共産主義体制の崩壊につながるもので、中国政府としては、受け入れるわけにはいかない」

 学生たちが香港の中心に座り込んで抗議デモを始めたのは、二〇一七年に行なわれる香港行政長官の選挙について中国政府が決めた制度に反対するためである。
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