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夢のお告げ

『怪奇現象』
[著]新倉イワオ [発行] 河出書房新社


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・病の夫と寝たきりの義父をかかえて

「心霊現象」というと、怨念、(たた)り、復讐……といった(たぐい)の悪いイメージ、なにか悪霊が人間を苦しめたりする現象を思いうかべる人は多いかもしれない。

 だが、主婦の水野由加利さんの場合は、すべてその逆、不思議なほどによいことばかりが次々と起きたのである。
「お父さん、死んじゃうの……」
「ばかネ! ひとみがそんなこといったら、お父さんがかわいそうでしょう」

 当時、由加利さんより七歳年下の夫は三十三歳、胃ガンに侵されて入院中。万一の場合にと酸素吸入器などが置かれた病室をグルリと見回して、そんな子供たちの会話を聞くにつけ、つい涙が流れそうになっては、慌てて自分を叱咤激励(しったげきれい)する毎日であった。
「あなた……」

 声にならない呼びかけを(のど)に押し込み、あふれそうになる涙を必死で押しとどめて、子供たちが一生懸命に作った千羽鶴を窓際にかける。
「ほら、こんなにきれいよ。光もひとみもえらかったねえ。お父さんもうれしいって思っているわよ」

 二人の子供が仲よく手をつないでアパートに帰ったあと、由加利さんはほとんど意識のない夫、一雄にそっと話しかけたのだった。
「あなた……、私たちの子供も、もう十歳と八歳になったのよ。とても元気で素直な子供に育ってくれたわ。あなたも頑張って、早く元気になってちょうだい、お願いよ……」
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