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通勤電車のヒマつぶし本
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雑学
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Train 5●昔の人力鉄道は、登りになると乗客も車両を押した!――今日の超高速時代では想像もつかぬ鉄道の昔なつかしノンビリ秘話

『通勤電車のヒマつぶし本』
[編]平成暮らしの研究会 [発行] 河出書房新社


読了目安時間:20分
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開業当時の渋谷駅は、なんと田んぼのド真ん中


 一日に何十万人もの人々が乗り降りし、混雑の切れ間がない渋谷駅だが、開業当時は緑の田園のど真ん中にあり、近くには水車小屋があって、ひがな一日コットンコットンと水車が回っていた。

 そういえば、童謡『春の小川』の小川は、渋谷駅近くの小川(宇田川)を歌ったものだとか……。

 渋谷駅の開業は明治一八年三月一日。日本にはじめて内閣ができ、伊藤博文が初代の総理大臣に就任した年である。この年、渋谷村の渋谷駅は、山手線の前身・品川線の中間駅として誕生した。

 渋谷村は大山街道の通る宮益坂と道玄坂がメインルートで、これと直角に渋谷川が流れていた。この流れに沿って日本鉄道が線路を敷き、駅をつくり、しかし駅は街道を少し離れた、たんぼの真ん中にポツンとつくられた。

 木造平屋建ての駅には駅長以下六人が勤務するだけ。開業当日、六人は一日じゅう客のくるのを待っていたが、その日はとうとう一人の客もこなかったそうだ。

 田園に人が働き、空にはひばりがさえずる静かな駅の一日……。いまの渋谷駅からは、とても想像できない光景である。


いまも通勤客を乗せて走る東京のチンチン電車


 昔なつかしいチンチン電車。少なくとも昭和三〇年代のはじめのころは、まだあちこちの路線で現役でがんばっていたはずだ。石畳の道路を長いパンダグラフに火花を散らせながら走っていたが、じつによく揺れる電車だった。

 決められた軌道しか走れない不自由さで、次第にふえてきた車と共存できず、地下鉄にかわったり、バスに取ってかわられたりで姿を消していったが、そんなチンチン電車が、いまも元気でがんばっているのが、早稲田と三ノ輪橋間の二九駅をつなぐ都電荒川線。東京ではとうとうこの路線一つを残すだけになってしまった。

 もちろん、朝晩は通勤客を満載して走り、昼だって下町の庶民の足としてがんばっている。「駅」と書いたが正しくは電停という。その昔、町で見かける広告には、○△電停前などという文字が幅をきかせていた。都電が走る目抜き通りに店があるんだぞという誇らしげな宣伝だったわけだ。

 もっと昔は、細長い道具箱をかついだ大工さんが、「ちょっとごめんよ」などといいながら、早朝割引で乗ってきたそうである。昭和一四年ころまでは、朝七時までは片道七銭の乗車賃が六銭で、朝の早い大工さんや職人さんに重宝がられていたとか。庶民を大切にする電車だったのである。

 いまはワンマンカーになってしまったが、それでも下駄の音が聞こえてきそうな下町情緒がたっぷりと味わえる。どの電停で降りても名所や旧跡がいっぱいあるから、ぶらりと歩いてみてはいかがだろうか。


熱海へ観光客を呼びよせた人気のトロッコ電車とは


 明治二〇年、東海道本線の工事はようやく国府津(こうづ)までたどりついた。それまでは海側に線路を敷いてきたが、ここで箱根の山につき当たり、これを大きく迂回して工事が進められることになった。この時、路線からはずされた小田原と箱根の商店や旅館の主人が集まって、なんとか鉄道の観光客を箱根に呼び込もうというのでできたのが小田原馬車鉄道。明治二二年、国府津から箱根湯本までを、馬車鉄道を走らせた。これで東海道本線と馬車鉄道を乗り継いだ観光客が箱根に集まり、地元は大いに潤った。

 この噂を聞いて、熱海の旅館の主人たちもなんとか観光客を呼び寄せられないかということで知恵をしぼり、箱根にあやかって鉄道を敷くことにした。

 しかし、こちらのほうは資金不足で線路の幅が七六二ミリ、車両もトロッコに屋根をつけただけのもので、人力で引っ張るのをつくるのが精一杯だった。それでも箱根に遅れること六年の明治二八年にやっと完成までこぎつけた。

 さて、人が押して走るというこの人力鉄道、客車は六人乗りというマッチ箱のような車両だが、当時の鉄道なみに切符は上等、中等、下等の三ランクにわかれていた。
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