◎7 会社を健全経営に導く法と数字の専門家になりたい!
◇ファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP(R)):生活設計をお金の面からサポート【民間】
・受験資格/協会認定研修の修了者
・合格率/約30%
・受験料/3000円
銀行の金利は、今や限りなくゼロに近い。年金基金が破綻する企業があるかと思えば、将来を見込んで積み立てた年金保険なども、予定利率が見直され将来に不安をもつ人が多い。
デフレスパイラルから抜け出せないまま21世紀を迎えた日本で、個人が将来生活設計をするには、自分で自分を守る経済計画を立てるしかなくなっている。
けれど、自分で自分の経済生活をどう築いていいかわからないという人も多い。そんな人に、知恵を貸すのがこの仕事。証券会社や生保会社など、金融機関に職のある場合、もっておくとよい資格だ。
年齢や職業、家族構成をもとに、個人の財政コンサルティングをし、生涯生活設計の手助けをする。
が、半面、プライバシーに深く関わることになるので、職業的倫理観をしっかり守らねばならない責任ある仕事ともいえる。
具体的には、顧客の現状を知って分析し、希望に沿って貯蓄や保険の見直しをし、資産形成の手助けをする。税理士や会計士のような財務知識ももっていなくてはならないが、同時に人間性も問われる仕事である。
貯蓄や保険、株式などの金融商品から、税金、不動産購入、ローン、教育、相続など、そのカバーする範囲は広く、ときにはその道の専門家の知恵も借りながら、個人にアドバイスを与える。
そのために試験範囲も、金融資産運用、不動産運用、ライフプランニング、リタイアメントプランニング、リスクと保険、タックスプランニング、相続事業承継設計などと幅広い。
まずは、協会認定のAFP認定研修を受講してみるのがよさそうだ。そのうえで2級FP技能検定を受け、協会に登録することで、はじめてAFP認定者となる。
さらにAFP認定者は、上級の資格であるCFP(R)試験にもチャレンジできる。これはアメリカで生まれた資格制度で、日本を含む世界19か国に導入されていて、評価が高い。
現時点で、日本でのCFP(R)合格率は10%程度と難関だが、取得後はアメリカ本部に登録されるほか、ライフプラン設計を請け負う会社でプランナーになったり、さらには独立開業の道も開けてくる。
[問い合わせ先/日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 電話03−3500−5533]
◇DCプランナー:新年金制度の強い味方【公的】
・受験資格/特になし
・合格率/約25%(2級)〜約15%(1級)
・受験料/6300円〜
2001年6月に公布された確定拠出年金法により、これまでの年金制度が大きくかわった。
確定拠出年金とは、加入者個人がお金を金融商品(預貯金、投資信託、保険など)で運用し、その結果に応じた年金額を受け取るというものである。
これまでの年金制度は、国や企業が年金の金額を決めて、老後に備える制度だったが、新年金制度は「自己責任」が問われる。それだけに、しっかりとした知識をつけなければ、安心した老後を迎えることはできないのだ。
しかし、今まで国や企業に頼っていた個人が、金融商品を把握して的確な運用をしていくのは非常に難しい。
そこで登場するのが、DCプランナーである。DC(Defined Contribution Plan)とは、確定拠出年金のことを指す。2001年9月にスタートした資格で、これまで約1万1000人の合格者がいる。1級と2級があり、それぞれ年2回試験が行われる。1級の受験資格は、2級合格者である。
試験対策用としては、最長6か月の通信講座がある。合格率が低い資格のため、独学は不利。1万6800円で受講できるので、受けてみるのも一つの手だ。
試験に合格すれば、希望者は日本商工会議所に申請することで、DCプランナーとして認定される。資格の有効期間は2年で、更新時に1万円が必要となる。
仕事の内容は、確定拠出年金の運用リスクを少なくしたり、金融商品の運用方法をアドバイスしたりする。
金融商品を運用する際には、掛け金の比率を決めなくてはならず、素人には到底できないことだ。DCプランナーは、そんな人の心強い味方となる。
確定拠出年金の運用をサポートする資格は、DCプランナー以外にも民間資格で二つある。
受講料や試験日が異なるが、資格の内容はほぼ同じであるといってよい。違いをよく見分け、自分に適した資格を選ぶことだ。
少子高齢化で近い将来、年金が高齢者全員に行き渡らない可能性があるという。だからといって、指をくわえているわけにはいかない。
自分のことは自分で責任をもつ時代になったが、それでも頼れる助言者が必要だ。DCプランナーは、まさにそんな存在である。
[問い合わせ先/日本商工会議所 電話03−5777−8600]
◇証券アナリスト:金融業界でのスキルアップに【民間】
・受験資格/特になし
・合格率/約45%(一次)〜約40%(二次)
・受験料/1万2000円〜
証券投資の分野で情報の収集から分析、評価を行い、投資価値の評価やポートフォリオの組成・管理を行う専門家のこと。
資格取得者は、証券会社や銀行などの金融関係、投資顧問会社などで重要なポストについて活躍している。マーケットに評価されるトップアナリストともなると、社会的地位は非常に高く、報酬も高額になる。
金融関係の人にはスキルアップになり、一般の人でも、転職の武器にできるといえる。
受験するためには、日本証券アナリスト協会の通信教育講座の受講が必要である。
一次レベルの通信講座(月1回ペースで8か月、会員4万8000円、一般5万4000円)を受け、その後一次を受験する。それに合格したのち、二次講座(月1回のペースで約9か月、5万1000円)を受けて二次試験を受ける。
合格者は合格の前後を問わず、通算して3年以上の証券分析の実務経験をした段階で、日本証券アナリスト協会検定会員として認定される。