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映画で異文化体験 異文化コミュニケーション講座
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エンタメ
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第1章 コミュニケーション・スタイル

『映画で異文化体験 異文化コミュニケーション講座』
[著]桜木俊行 [発行]近代映画社


読了目安時間:23分
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 ロンドンの地下鉄内のアナウンスを担当する女性が『親愛なるアメリカ人観光客のみなさまにお知らせします。会話なさっているあなた方の声は間違いなく大きすぎると存じます』などのパロディー場内アナウンスをインターネット上に掲載したために、解雇されてしまったという失笑を禁じ得ないニュース(Sunday Times, 2007年12月2日号)を読んだことがありますが、これは英語を母語として共有する人々の間にも存在するコミュニケーション・スタイルの違いを端的に示す例といえるかもしれません。

 文化的背景の異なる人とコミュニケーションする際には、声の大きさに関する文化の違いのほかにも、意図の直接的・間接的な伝え方、自己開示の度合い、会話の際の対人距離および身体的接触の頻度の違いなどが、“押しつけがましい”“横柄”、あるいは逆に、“冷たい”“退屈”などの印象を生み出す可能性があります。異文化コミュニケーションにおいて重要なのは、このようなコミュニケーション・スタイルの違いを必ずしも個人の性格の問題として解釈するのではなく、文化の影響も考慮することです。特にアメリカのような多文化社会では、民族や地域などの要素に基づくさまざまな文化の違いが混在しているので特に注意が必要です。


ギリシャ式結婚狂想曲 『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』My Big Fat Greek Wedding(2002年/アメリカ)

監督:ジョエル・ズウィック
出演:ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーベット、マイケル・コンスタンティン、レイニー・カザンほか


 このシカゴを舞台とする物語の主人公、トゥーラ・ポルトカロスは30歳になったいまも、ギリシャ人移民の両親と同居しています。トゥーラは早くギリシャ人男性と結婚して子どもを産まなければならないという親や親戚からのプレッシャーを感じながら、父親の経営するギリシャ料理レストラン“ダンシング・ゾルバ”で働く単調な毎日に不満をつのらせていました。

 ある日、トゥーラはダンシング・ゾルバにやってきたハンサムな男性客イアン・ミラーに一目惚れしますが、緊張のあまり彼を見つめるばかりで、まともな会話もできません。この出来事のあと、ついに自分を変える決意をしたトゥーラは、以前から考えていたコンピューターのクラスを大学で受講することにします。大学に通い始めることで、ギリシャ系アメリカ人コミュニティーの外の世界にふれる機会を得たトゥーラは、自分に少しずつ自信を持つようになっていきます。

 間もなくトゥーラは大学で学んだコンピューターの知識を生かして、叔母が経営する旅行会社に勤めるようになります。そんなある日、人生で初めて新しいことに挑戦する喜びを感じながらハツラツと働くトゥーラの姿をイアンが偶然窓の外から見かけて、今度は彼の方が彼女の気を引こうとぎこちない努力をします。

 スムーズとはいえない出会いのあと、イアンとトゥーラは意気投合し、やがて二人はデートを重ねるようになります。しかし、トゥーラは自分がギリシャ系の男性と結婚するのが当然と信じて疑わない家族や親類のことを考えると、イアンとの将来について悲観的になってしまいます。それでも、イアンはトゥーラにプロポーズし、彼女の家族に受け入れられるように懸命の努力を始めます。

 この映画は低予算で製作され、アメリカ国内ではたいした宣伝もされずに、当初、限られた数の映画館で公開されましたが、評判が口コミで広まった結果、ロマンティック・コメディーとしては史上最大級のヒット作となり、ついにはアカデミー賞(脚本部門)にノミネートされました。


感情表現豊かなギリシャ系女性たち



 この作品では、トゥーラの家族とイアンの家族の文化の違いのユーモラスな描写が大きな見どころになっています。トゥーラは自分の家族のことを恥ずかしく思って、ひたすら隠そうとしますが、イアンに問いつめられて、ついに説明を余儀なくされます。『いとこだけでも27人いるの。私の家族は馬鹿でかくてやかましいうえに、みなひっきりなしにお互いの生活や個人的な事柄に干渉し合っているの。
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