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都市伝説 信じたくない恐怖
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エンタメ
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時を超えて生き続ける現代の「百物語」…プロローグ

『都市伝説 信じたくない恐怖』
[編]現代ふしぎ調査班 [発行] 河出書房新社


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●「都市伝説」は、どこから生まれるのか

 都市伝説とは何か? 三省堂の新語辞典によると、
「広く口承(こうしょう)される噂話(うわさばなし)のうち、現代発祥で根拠が曖昧(あいまい)・不明であるもの。1970年代後期に流布(るふ)した『口裂け女』の噂話など」

 とある。

 現代の話であること、真偽(しんぎ)が不確かであることが特徴で、たとえば本書で紹介するのは、こんな話だ。

 ・みのもんたは、テレビに出まくっているが、じつは5人いる

 ・アイドルタレントが「膣痙攣(ちつけいれん)」で病院に運ばれた

 ・ハンバーガー・チェーンの肉はミミズ(ネズミ)だ

 ・「ダルマ女」にされた女の子に会った

 ・“9・11テロ”は20ドル札に予言されていた

 ・アポロ11号は月に行ってなかった

 などなど。常識的な人が聞けば、バカバカしいと一笑(いっしょう)()しそうな話もあれば、嘘っぽいけどよくできた話、ひょっとして……と思わせる話など、まさに玉石混淆(ぎょくせきこんこう)。しかし、その混沌(こんとん)ぶりこそが、いかにも都市伝説らしいといえばいいか。その面白さは本文でたっぷり堪能(たんのう)していただくとして、ここでは都市伝説についての簡単な解説をしておこう。
「都市伝説」という言葉は、もともとは、『消えたヒッチハイカー』(ジャン・ハロルド・ブルンヴァン著、大月隆寛訳、新宿書房)という本に出てくる英語の「アーバン(都市)・レジェンド(伝説)」(urban legend)の翻訳語だ。

 ここでいう「アーバン」は都市を舞台にした話というよりも、“都市的な生活のなかで”、または“近現代において”という意味が強い。だから、田舎や山中や海外の辺境(へんきょう)を舞台にした都市伝説もあるし、戦前まで時代をさかのぼる場合もある。

 また、「伝説」というのは、「不確かながらも、語り手が真実のごとく語っている」という意味だ。

 語り手自身が事実と思い込んでいる場合も、面白いネタ(空想のギャグ・ジョーク・デタラメ話)として了解している場合も、はっきりしない不確かなままの場合もある。いずれにせよ、都市伝説では「じつは……」と真実のごとく語る語り口が重要なのだ。

 都市伝説のなかには、検証するとデタラメという場合もあるし、真実の場合もある。たとえば、テレビ番組『トリビアの泉』(フジテレビ系、現在は不定期放送)では、「富士の樹海では方位磁針が正常に動作しない」という都市伝説を検証して、「ガセビア」(つまり、ガセ)と認定していた。しかし、この都市伝説を信じている人は現在も大勢いる。

 このように、検証され否定されても、それを知らない人は多く、彼らは勝手に「友人の友人から聞いた話だけど……」と、その都市伝説を“口承”していく。かくして、都市伝説の多くは、「ガセ」と検証されていったんは収束(しゅうそく)しても、ふたたびゾンビのように(よみがえ)るのである。

 ただ、こうしてしたたかに生き残る都市伝説には、「意外で、奇妙で、面白い」という要素が欠かせない。聞いた人間が、驚くか感心するか、笑い出すか、怖がるか。いずれにせよ、「へ〜」という反応を起こし、一度聞くと誰かに語りたくなるような面白い話でなければならない。伝言ゲームが続くためには、語りたくなる面白さを(そな)えていることが重要だからだ。

●日々、変化を遂げていく「都市伝説」

 都市伝説では「なぜ、そんな話が広まったのか」と、あえて話の起源が語られることも多い。たとえば、こんな話だ。

 ・猫レンジ事件
「PL法の説明をするときに、法律の先生がジョークで言った」
「いや、この話はPL法以前からあり、その時は、オーブンだった。訴訟大国アメリカで、ときどき馬鹿げた判決が出ることを揶揄(やゆ)したジョークだった」

 ・口裂け女
「CIA(あるいは自衛隊)が噂の伝播(でんぱ)の研究のためにわざと流した」

 ・フラフープで腸捻転(ねんてん)/ミミズバーガー
「ライバル会社の陰謀(いんぼう)だった」

 こうした補足的な話がもっともらしく語られると、その都市伝説は一気にリアリティーを増す。それだけではない。その解説がよく出来ていれば、その解説自体が新たな都市伝説になるのだ。こうした曖昧で確認しようもない説明や後日談を「対抗神話」と呼ぶが、こうした対抗神話も含めて都市伝説の世界では、時代に合わせて、つねに新たなバリエーションが生まれる。場所を変え、時代を変え、情況を少し変えて生き続ける。それが都市伝説なのである。

 また、現代の伝説である都市伝説には「学校の怪談」「タクシー運転手が出会った幽霊」「人面犬」など現代の怪談や妖怪(ようかい)伝も含まれる。

 伝統的な日本の怪談や妖怪伝が、場面を現代に変えて同じ構造で出現するのは興味深い。都市化され、蛍光灯の光で照らされ()くしたわれわれの生活や社会でも、根元(こんげん)的で伝統的な恐怖感が脈々と生き続けているのだろう。

 口碑(こうひ)(言い伝えや伝説)がどのように形成されるのか、歴史や物語はどのように(つむ)がれ始めるのか。都市伝説は、その始源を明かす貴重な研究材料でもあるのだ。

 ま、小難しい話はともかく、読者にはまず、本書で紹介した都市伝説を理屈抜きに楽しんでいただきたい。そして、人間という生き物のたくましいまでの想像力に驚嘆(きょうたん)していただければ、編者としてこれに(まさ)る喜びはない。
現代ふしぎ調査班
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