『2015年版 人脈がいっぱい!』
[著]中島孝志
[発行]ゴマブックス
唐突だけど、いま、やりたいことを10個挙げてもらいたい。たとえば、手帳かノートにそれを書いてみよう。
「もっと仕事ができるようになりたい」「とりあえずノルマを達成したい」「早く昇進したい」「もっと給料が欲しい」…なんでもいい。そして、この10個の願いを見て、「人脈」があれば、そのうちどれだけのことが実現できるだろうか、と考えてもらいたいのだ。
人脈さえあれば、やりたいことはおおむね実現できる。これがわたしの持論。そして、結論である。
「たしかに人脈があればできるよな。けど、その肝心の人脈がないんだよ。それが問題なんだ。どうにかしてくれ!」とお嘆きのあなた、いまから、その解決法を伝授したいと思う。
その前に…なぜ、人脈をつくれる人とつくれない人がいるのだろうか?
「そりゃ社会的地位がちがうもの。オレだって大会社の経営者や政治家になれば人脈なんてちょろいもんさ。黙っていたって、向こうから押し寄せてくるよ」
ほんとうだろうか? そんなことはない。大会社の経営者や政治家になったから人脈が増えたわけではない。人脈があるから経営者や政治家がつとまっているのだ。ここをとりちがえてはいけない。
わたしの大好きな映画に『ぼくの大切なともだち』(2006年)というフランスの作品がある。『仕立て屋の恋』(1989年)、『髪結いの亭主』(1990年)で知られるパトリス・ルコントの作品だ。
美術商としてバリバリ働くフランソワが商売敵の葬儀に参列すると、そこにはほとんど参列者がいなかった。「あれだけの仕事をした男なのに」という意外な思いを自分の誕生パーティで周囲に話すと、「おまえの葬式には1人も来ないよ」と言われてしまう。
「バカ言うな。今日だってともだちだから来たんだろう?」「オレは商売相手であって、ともだちじゃないよ」「わたしも」「ぼくも」…ショックを受けたフランソワは、悔しさのあまり、共同経営者のカトリーヌと賭けをする。10日以内に親友を連れてくること。負けたら? 落札したばかりの20万ユーロ(約2千600万円)の壺を差し出す。
勇躍してリストアップした友人を訪ね歩く…空振りの連続。だれ1人として彼を友人とは認めない。古いアルバムを眺めて訪ねた幼馴染みからは、「おまえがいちばん嫌いだった」と捨て台詞まで投げられた。
「愛はお金で買えるが、友情はけっしてお金では買えない」というテーマの映画だと思う。
人間関係はギブ&テイクではなく、ギブ&ギブ・ギブ。なにかしら人脈づくりにも通じるルールが伺える作品だと思う。
さて、人脈ができる人、できない人のちがいはどこにあるか? それはおそらく次の3点ではなかろうか?
(1)人脈を作ろうとする意識、意欲があるかどうか?
(2)人脈の威力に気づいているかどうか?
(3)方法論を知っているかどうか?
これだけだ。(1)はあなたもある程度持っている。だから、本書を読もうという気になったのだと思う。問題は(2)と(3)だ。ここを自分のものにしなくてはいけない。