中絶経験者は実に多い
女性にとって、自分の体の中に芽生えた小さな命を抹殺することはどれほど悲劇なことでしょう。どんな境遇であったとしても、必ずあなたのDNAを受け継いでいる愛しい命です。その命を抹殺することの苦しさ。そして自分の母体まで傷つけてしまう人工妊娠中絶手術。
キリスト教圏内では倫理的に許されていない中絶手術ですが、それでもアメリカでは、産婦人科医の調べによると、中絶手術の経験者は4割以上とも言われています。実に2人に1人は経験するかもしれない中絶は、どうしてこのように身近に起こってしまうのか? 手術経験者は「私だけこんな悲惨な目に……」と思うのですが、意外にも多くの女性が経験しているというこの事実。「倫理的に間違っている」という通り一遍の言葉だけではかたづけられません。心にも体にも大きなダメージを受けるこうした中絶はなぜ絶えないのでしょう? 今回は、恋愛で避けて通ることのできない妊娠中絶について、生物学的に、科学的にアプローチしてみることにします。
今は中絶、昔は間引き
アメリカでは今でも、人工妊娠中絶手術に対して論争が巻き起こっています。キリスト教ではご法度とされており、中絶手術を容認している産婦人科医が殺される事件すら起こっているほどです。