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(2021/11/26 追記)

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詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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東池袋大勝軒 心の味
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くらし
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はじめに

『東池袋大勝軒 心の味』
[著]山岸一雄 [発行]あさ出版


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ラーメンは私の一部


ラーメンは摩詞不思議な食べ物


 本書は、二〇〇三年に『東池袋・大勝軒のオヤジさんが書いた これが俺の味』として発行されたものに、その後の十年弱の東池袋「大勝軒」(以下、大勝軒とする)での出来事をまとめた一冊である。


 大勝軒は皆さんに愛され、おかげさまで五十周年を迎え、私のラーメン人生は六十年を越えることになった。


 私は、ラーメンほど不思議な食べ物はないと思っている。大人から子供まで誰からも愛され、日本全国いたるところにラーメン屋がある。それでいて飽きられることなく、もう十年以上もラーメンブームが続いている。


 なぜ、ラーメンは飽きられないのか。


 それは一つとして同じ味がないからである。ラーメン屋が百軒あれば、百軒の味があるといわれる。


 たとえば、どんなに優秀な料理人に、私のラーメンのつくり方をすべて教えたとしても、同じ味はつくり出せないのである。


 その理由は本文に譲るが、それほどラーメンは摩詞不思議な食べ物であり、そこがつくり手にとってはむずかしくもあり、魅力でもある。


ラーメン漬けの毎日


 私は十七歳のときにラーメンの世界に身を投じた。当時、ラーメン一杯三五円。ラーメン屋の数もそれほど多くはなかった。


 今のようにラーメン屋という職業がもてはやされていた時代ではなかったが、私は、ラーメンの不思議な魅力に吸い寄せられるように、ラーメン屋という職業にのめり込んでいった。

「どのようにしたら自分の理想とする味を出せるのか」「私のつくるスープにはどんな麺が合うか」「その麺をつくるにはどの小麦粉がベストか」


 寝食を忘れてラーメンの研究に没頭した。努力したら努力しただけの見返りがあった。お客さんがどんどん増え、さらにそれを喜びとし、いっそう研究に取り組むことができた。


 こうして試行錯誤を何度も繰り返し、自分の味を確立してきた。もちろん、まだ満足していない。まだまだ研究の余地はあると思っている。


 ラーメンは、私の一部になっている。


 引退前には、朝四時の起床と同時に仕込みが始まり、午前十一時開店、午後三時に店を閉めていた。その後も後片付け、次の日の準備、さらに夜中までひっきりなしに電話が鳴り、その対応に追われていた。気がつくと一日が終わり、また一日が始まっていたという感じだったのだ。


 週に一度の定休日も、ほとんど店から出ることはなく、ラーメンのことを考えていたり、独立していった弟子たちが来たり、お客さんからの問い合わせに応じたりしていると、あっという間に終わってしまっていた。


 まさしく、ラーメン漬けの毎日であった。


 なぜ、私がこれほどまでに一心不乱にラーメンに打ち込んできたのか。それは、先ほど言ったラーメンの不思議な魅力にとりつかれたからであり、そして「美味しい」と言って食べに来てくださるお客さんがいたからである。


 それが何よりも嬉しい。引退した今でも私の原動力になり続けている。

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