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タモリ学 タモリにとってタモリとは何か?
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エンタメ
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明日も、見てくれるかな?

『タモリ学 タモリにとってタモリとは何か?』
[著]戸部田誠(てれびのスキマ) [発行]イースト・プレス


読了目安時間:3分
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 タモリは立っていた。


 共演者たちは疲れ果てて休んでいる。休憩を促したのはタモリだった。寝転んだり座り込んだりして荒い呼吸を整えている共演者たちの輪の中で、タモリはただひとり、息をほとんど乱すことなく立っていた。


 そしてスタジオの天井の、どこか一点を見つめていた。


 何か感慨深げにも見えた。しかし、何も考えていないようにも見えた。


 その真意はサングラスに隠れてわからない。


 2012年7月21日から22日にかけてフジテレビ系列で放送された『FNS27時間テレビ 笑っていいとも! 真夏の超団結特大号!! 徹夜でがんばっちゃってもいいかな?』。そのラストを飾るのは『いいとも』レギュラー陣ほぼ全員による大縄跳びだった。しかし目標の50回にはなかなか届かず、再挑戦を繰り返していた。



 78年生まれの筆者にとって、物心ついた時から、タモリはタモリとしか言いようのない存在としてテレビの中にいた。


 それは『いいとも』に「お昼の顔」として君臨するタモリである。


 アナーキーなアングラ芸人で「夜の顔」だった、デビュー当時のタモリはリアルタイムでは見ていない。密室芸を(やま)(した)(よう)(すけ)(あか)(つか)()()()らに披露していたという素人時代を文章以外で知る術もないし、会社員時代や子供時代の彼を想像するのは難しい。


 タモリと『いいとも』は、僕らにとって日常そのものだ。


 だからたとえ視聴率的に苦戦するようなことがあったとしても、『いいとも』が終わってしまうことなど受け入れたくなかった。


 『いいとも』打ち切りの噂はここ数年、改編期のたびに聞こえてきたが、それはあくまで噂でしかなかった。しかしこの時の噂には、認めたくないものの、ある種の信憑性が確かにあった。


 『いいとも』はこの年30周年。その節目の年に『いいとも』をベースにした形で、フジテレビ恒例のお祭り企画である『27時間テレビ』を放送する。総合司会を務めるのは、『27時間テレビ』では久々の登板となるタモリである。「それをもってタモリ最後の花道とし、番組の終了、あるいはタモリの降板が発表されるのでは」という噂が、まことしやかに囁かれたのだ。


 しかし結論から言えば、まだこの年は、それもやはり噂の域を出ず、タモリは『27時間テレビ』総合司会を一睡もせずに務め上げ、『いいとも』終了の噂などみじんも感じさせない健在っぷりを見せつけた。


 12年の『27時間テレビ』は、タモリフリークはもちろん、すべてのテレビっ子にとって夢のような番組だった。テレビの面白さ、楽しさ、魅力がつまっていた。



 そして、エンディングの大縄跳び。


 目標の50回にはついに届かなかったものの、最後の挑戦で40回に達することができた。


 「まあ、よくいったでしょ」


 タモリはそう言って、締めの挨拶に入る。その最後の最後、タモリは観客と視聴者に呼びかけた。


 「明日も、見てくれるかな?」


 そう、明日──すなわち月曜日から、『いいとも』はいつものように、レギュラー番組として生放送される。


 夢のような時間のエンディングに、タモリはいつもとまったく変わらない言葉を放った。そのとき、いつもの決まり文句はその意味を変えた。夢と現実が地続きになったのだ。明日も『いいとも』があるように、僕らの日常は続く。なんてステキなことだろうか。


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