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人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。
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エンタメ
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食べ物に挑む

『人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。』
[著]岡本太郎 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:14分
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 人間は誇りをもって生きる存在だと思うのだが、ところがあらゆる面で、私にはその裏返しが見えてならない。その一つ、たとえば毎日の生活の中で、最も大事でデリケートな食べる行為、そのあり方にもそれを感じるのだ。


 人間は「食べる」ということに関して、いささか後退しているのではないだろうか。


 動物がものを食べるときの姿を見ると、まさに運命に挑んでいるという感じ。いのちを賭けて、貪り食らう。ライオンだって、虎だって、ふだんはのそりと平たく寝そべって、あまり締まらないけれど、いざ獲ものに向うときは、アッというほど鋭い姿になる。それは猛獣ばかりではない。可憐な小鳥などでも、よく見れば同じだ。餌をついばむところを見ると、本当に全身をふるわせ、突っついている。その集中と緊張はまことに見事であり、ほほ笑ましい。


 それに対して人間だけは、全身でかぶりつくのではなく、ただ舌の先だけでちょこっと味わっているのが、いわゆる通人、味のわかる人と見なされる。あまり集中してガツガツ食らうのは、不作法、いやらしい、と軽蔑されるのだ。本来、闘争であるべき行動を、いささか気どって斜に構え、安らいで味わうという格好をしたがる。そこにそもそも人間の食生活、食べ方の問題点があるのではないか。


 私自身、十八歳の時の経験だが、パリからオランダに旅行した。パテ・ベビーという小型ムービーカメラを持って行った。アムステルダムのホテルで朝食を食べているとき、同行の友人がそのカメラで私を写してくれた。フィルムが出来上って来たので、喜び勇んで映してみたが、その私の食べ方の忙しいこと。自分でもまさかこんなとは、考えたこともなかった。

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