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お客に言えない業界のヒソヒソ話
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雑学
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事件発生! そんなとき、あなたも聞いてる無線の暗号

『お客に言えない業界のヒソヒソ話』
[編]現代情報ネットワーク [発行]青春出版社


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 タクシーに乗ると、“カッ”という雑音とともに入ってくる、無線を聞くことがある。たいてい営業用の暗号を使っているので、乗客にはなんのことだかわからない。

 貴金属卸売メーカーに勤める営業マンのH氏(35)は、よく仕事でタクシーを利用するほうである。そんな彼が、都内でタクシーに乗ったのは12月の夕暮れどき、得意先から会社に戻るときのことだった。

 突然、無線からこんな声が聞えてきた。
「本日午後4時ごろ、○○で乗り換えた3人のお客さんに、大きな忘れ物がありました」

 H氏は、あれ? と思った。なぜなら、ふだん聞いている無線は「銀座2番から池袋方面」などという簡潔きわまりないもの。いうまでもないが、この手の業務連絡は、流しているタクシーをある場所に呼び、そこでお客を拾ってもらうためのもの。しかし、今回はちょっと様子が違う。さらに、まだまだ無線は続いている。
「忘れ物は無線室に保管。お客さんの特徴は、ひとりはピアス。年齢17歳くらいの男性。身長160センチくらい。もうひとりは、スキー帽。年齢は17歳くらい。あとひとり、同じく17歳くらい。以上」
(これは、なにかあったな)と直感的に思ったH氏。好奇心がムクムクと頭をもたげてくる。だいたい、タクシーを乗り換えるという話は不自然だ。しかも、忘れ物をした人の特徴なんて、そんなにこまかく無線で伝えるのもおかしい。
「運転手さん、今の無線、なにかあったんですか?」

 H氏は、思い切って、50歳くらいの白髪頭のドライバー氏にたずねてみた。だが、
「うーん、いや、ちょっと」

 とドライバー氏は言葉を濁す。こうなると、H氏の好奇心は膨らむ一方だ。
「気になるなぁ、なにがあったか、ちょっとだけ教えてくださいよ、お願い!」

 強引にくい下がると、ドライバー氏、
「じゃあ……、ここだけの話にしてくださいよ」

 と前置きしてから、少し声のトーンを落として教えてくれた。
「実は、“大きな忘れ物”っていうのは、凶器を持った犯人のことなんですよ。おそらく、強盗事件かなにかが起こったんじゃないでしょうかね」
「では、無線室に保管というのは?」
「心当たりの人を見つけたら、無線室に連絡しろってことです」

 ここまで聞いたら、あとは明白。
「わかった! じゃあ、乗り換えた場所っていうのは、犯行現場で、鼻にピアスうんぬんというのは、犯人の特徴と人数なんですね! すごいな」

 H氏は興奮していった。ドライバー氏の表情は真剣であった。
「ただでさえ、暮れは犯罪が多いから、タクシードライバーも、検挙のため、こういう形で協力を求められているんですよ」

 ちなみに3日に一度は、このテの無線が入るのが東京の実態だそうだ。ぶっそうな世の中になったものである。

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