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お客に言えない業界のヒソヒソ話
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雑学
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「ご予約のお部屋にトラブルがありまして」の本当の理由

『お客に言えない業界のヒソヒソ話』
[編]現代情報ネットワーク [発行]青春出版社


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 学会や見本市などが開催されるとき、会場近くにあるホテルには予約が殺到し、パンク状態になる。たいてい、客室には余裕をもたせるようにはしているが、それでも「どうしてもお願いします!」とお得意さまに頼まれたりすると、しかたなく10室程度のダブリに目をつぶることもある。このように宿泊できる部屋数以上の予約を、意図的に受けることをオーバーブッキングという。

 それでも、ほとんどトラブルは発生しない。というのは、満室の予約が入っても、実際に来るのはその8割程度。宿泊予定日の1週間前に予約確認をとっても、当日にノーショウ(無断でキャンセルしてしまうこと)されることだって、珍しくないからだ。

 たとえば、バブル期とは比べものにならないほど減ったが、クリスマスに備えて、早い時期から予約を入れる男性客もまだいる。彼らのうちの何割かは当日になっても相手が見つからないのか、逃げられたかして、ノーショウになる可能性も高い。そのためこのシーズンは130%くらいの予約を受けつけるホテルが多い。が、それでも空室が出るというのが現実なのだ。もくろみがはずれた客も、あわれといえばあわれだが、ホテルにしたっていい迷惑なのである。

 そうなると、そのあたりの駆け引きは、リザベーション(予約)係の手腕と勘のみせどころとなるわけだ。

 だが、それでもさすがに100%うまくいくとは限らない。

 新宿で医学の学会が開催された2月のある日。大阪の広告代理店に勤務するJさん(40)が、東京での仕事を終え、新宿のホテルについたのは、すでに夜の8時であった。

 1ヶ月前から予約をしていたJさんが、フロントにその旨を伝えると、手元のコンピュータを操作していたレセプションの人が、急にすまなそうに告げた。
「大変申し訳ございません。実はJ様のためにご用意した部屋の空調が、故障しております。今夜のところは、近くにあるホテルにお移りいただけないでしょうか」

 Jさんが、(疲れてるのに、なんだ!)と一瞬表情を硬くすると、フロントはさらに頭を下げていう。
「お移りいただくのは最寄のホテルでございます。その際、先方のホテルの料金が高いときは、その差額をこちらが負担いたします。移動は当ホテルが用意するハイヤーでどうぞ……」

 至れり尽くせりのサービスである。考えてみれば、真冬なだけに、空調がきかない部屋は困る。疲れてはいたが、そこまでいわれてJさんは「いいですよ」と答えた。

 だが、移動するハイヤーの中で、Jさんは、ふと考えた。
「本当に、エアコンが故障してたのかな。本当は、オーバーブッキングしてたんじゃないのかな?」

 このJさんの推理は、ある意味では当たっている。ホテル側は、オーバーブッキングがあっても、それを素直に白状することはない。一発でお客の信用を失ってしまうからだ。

 言い訳としてよく使われる代表的なものはというと、「電灯の異常」、「バスルームの排水パイプに詰まりがある」など。もちろん、本当に故障している場合もある。が、これにしても、日ごろの整備の不備を問われてしまうので、そう簡単に使ってもいい言い訳ではないのだが。

 また最近は、インターネットで予約を入れるお客も多いので、「うまく予約ができていなかったようで……」と、システム上のトラブルとして処理するケースも増えている。

 結局は、当のホテルからしてみれば、ほかのホテルにお客を斡旋(あっせん)したうえ、ハイヤーなどにかかる経費も負担する。オーバーブッキングによるこの損失は大きい。が、お客からすれば、ホテルの移動はしても、ほとんど損害はかぶらない。話にのっても損はない。むしろ多少ラッキーぐらいに思っていいかも。

 まあ、ホテルからすればオーバーブッキングは必要悪。そんなときなにより大切なのは、あとのフォロー。今回はそんなことになっても、次回はまた利用してもらえるよう、ホテルは最大限のサービスをするように努力してくれるはずである。

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