『アジア 反日と親日の正体』
[著]酒井亨
[発行]イースト・プレス
一九一二年以外にも、戦後中国国家の時代的変化に着目する必要がある。一九七〇年代と二〇〇〇年代の中国を比べた場合、有体にいって、最近の中国の指導者および文化レベルは著しく劣化した、と筆者は考える。
第一、国民レベルで最低限のモラルが崩壊している。もっとも一九七〇年代から中国をウオッチしているあるベテランによれば、「中国人の本質は、当時から利己主義的であり、実際には変わっていない」ともいうが、筆者が一九八九年に中国広東省に入ったときには、まだまだ純朴で正直なところを感じた。