『アジア 反日と親日の正体』
[著]酒井亨
[発行]イースト・プレス
日本では近年、中国とともに韓国に対するイメージも悪化している。人によっては中国よりも嫌いだという人がいる。
そこには日本人の長年の朝鮮人蔑視感情があることも否定できないが、韓国政府や政治の次元で事あるごとに「反日」宣伝をすることが日本人の不快感を誘っていることもまた事実だろう。
民主化以降の歴代政権は、大統領選挙や政権初期の支持率が高い間は、「未来志向」などをうたい、親日的な姿勢をとるものの、政権末期に支持率が低下したり、経済状態が悪くなると、党派を問わず「反日」を材料にしてきた。
大阪出身の李明博もその政権末期には、日韓の政府間交流がほぼ断絶状態に近いくらい悪化した。
李明博は二〇一二年八月一〇日、独島(竹島)に突如上陸し韓国領であると改めて発言した。さらに、独島に上陸した初めての韓国大統領となった。それに加えて同月一四日、今上天皇について「日王」と呼称した上で、「日王が痛惜の念などという単語ひとつを言いに来るのなら、訪韓の必要はない。日王は韓国に来たければ、韓国の独立運動家がすべてこの世を去る前に、ひざまずいて謝らなければならない」と土下座を要求した。一五日の光復節の式典では「日本軍慰安婦被害者問題は人類の普遍的価値と正しい歴史に反する行為」であると述べた。
日本政府は天皇謝罪要求を特に問題にして、謝罪と撤回を要求したが、外交通商部長(外相)は昭和天皇の戦争責任まで言及した。また二〇一三年二月に発足した朴槿恵政権は、成立初期から日本とは明確に距離を置き、対中傾斜を強める姿勢を打ち出した。
独島上陸だけならまだしも、このように天皇謝罪要求、対中傾斜と続くと、本来韓国が嫌いでなかった日本人まで嫌悪感や不信感を強めるのは当然のように思われる。