『アジア 反日と親日の正体』
[著]酒井亨
[発行]イースト・プレス
次に台湾独立論についてである。
「台湾独立」というと誤解されやすいが、これは「中華人民共和国からの独立」の意味ではない。台湾は中華人民共和国の支配を一度も受けたことがない。「独立」というのは、あくまでも戦後台湾を支配してきた「中華民国という支配から独立し、自前の国家をつくる」ということなのである。
今日では中華民国の統治範囲と台湾はほぼ同じであり、民主化を経て中華民国も台湾を前提にした統治システムになっている。「中華民国からの台湾の独立」は単なる観念論になってしまった。
ところが、民主化が始まる一九八六年以前までは、中華民国は広い中国を前提とした仕組みだった。