いよいよ登場の「地獄の黙示録」(79年)が予想通りの大当り。また「オフサイド7」(79年)なんて一篇も登場したので、この項は前項の戦争映画・空中篇に続いて地上篇といこう。戦争スペクタクルから抵抗運動、脱走アクション、反戦ヒューマニズム映画までいろいろです。
戦争スペクタクルは「史上最大の作戦」
戦争関係の映画はいろいろなジャンルに分類出来るが、まず、いわゆる戦争映画。これは戦場を主要な舞台とし、武勇伝だのロマンスだの反戦テーマだのをくりひろげる映画、という風に定義しておきたい。このジャンルのサイレント時代の代表作はキング・ヴィドア監督の「ビッグ・パレード」(25年)とラオール・ウォルシュ監督の「栄光」(26年)で、トーキー初期にはルイス・マイルストン監督の「西部戦線異状なし」(30年)とG・W・パプスト監督のドイツ映画「西部戦線一九一八年」(30年)がある。
戦後に移って、まず戦争スペクタクルと呼んでいい規模の大きな作品からいくと、代表はノルマンディ上陸作戦を米英仏独スター総動員で描いた「史上最大の作戦」(62年)ということになる。監督がベルンハルト・ヴィッキも含め米英独四人の分担で散漫になったところもあるが、あきれるほどの物量作戦でこしらえたソ連の超々大作「ヨーロッパの解放」(70〜71年)などより遥かにうまい描写も見られ、うんざりさせられないで済んだ。主人公の性格を強く打出しながら戦局の進展を興味深く描いたのはフランクリン・J・シャフナー監督の「パットン大戦車軍隊」(70年)であるが、パットンを演じたジョージ
・C・スコットがアカデミー主演男優賞の授与を拒否するというおマケもついた。
第二次世界大戦の地上戦闘では戦車が大活躍で、アフリカ戦線におけるロンメル将軍の奮闘を描いたヘンリー・ハサウェイ監督の「砂漠の鬼将軍」(51年)もその一例だが、最も盛大だったのはケン・アナキン監督の「バルジ大作戦」(65年)である。