このところ「グローイング・アップ2/ゴーイング・ステディ」(79年)「アメリカン・グラフィティ2」(79年)「ローラー・ブギ」(79年)、そして「ヤング・ゼネレーション」(79年)等々、青春映画と呼んでいい作品が続々と公開されている。そこでこの項では米英のこのジャンルから代表作を選んでみよう。
戦後最初の名作は「エデンの東」
まず、戦後最初にぼくを感動させてくれた名作から挙げる。エリア・カザン監督、ジェームズ・ディーン主演の「エデンの東」(55年)である。第二次世界大戦が終って外国映画が再び輸入公開されるようになってから十年目だから、これが最初というのはだいぶおそいが、青春映画としてすぐれた作品はあまりなかったのだから仕方ない。イタリアではフェデリコ・フェリーニが「青春群像」(53年)を作っていたが、日本題名にもかかわらず、青春映画と呼ぶにはいささか抵抗を感じる。もうすこしトウがたった青年たちの群像だからである。だいたい、青春映画というジャンルは境界がきわめてあいまいで、ほかのジャンルと重複する場合も多い。半数以上が学校物とかスポーツ物とかのジャンルに分類してもいい。また作品の性格で区別したほうがいいこともある。たとえば「暴力教室」(55年)などはハイスクールの生徒たちの非行ぶりが大きな話題になったが、グレン・フォードの教師の苦労がドラマの焦点なので、青春映画と呼ぶのは躊躇せざるを得ない。高校から二十歳台の終り頃までの年齢の世代が主体のドラマに限定するのが無難であろう。「エデンの東」でジェームズ・ディーンが演じたキャルもこの範囲に該当する年齢である。この作品についてはあらためて説明するまでもないが、これほど肉親の愛情に飢えた若者の心情を、痛々しく、しかも美しく描き出した作品はほかにない。