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「イベント実務」がよくわかる本
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本書の読み方、使い方、役立て方

『「イベント実務」がよくわかる本』
[著]平野暁臣 [発行]イースト・プレス


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「イベント計画の参考書」「実務書」として読んでください


 本書は、イベントの開催準備の過程で必要となる標準的な業務内容を分野別にリスト化し、それらに対する基礎的な解説を加えたものです。


 ルーティン業務とは違って、イベントは原則として一回限りの限定的な営みです。だからこそ、事前の綿密な検討と検証が不可欠であり、合理的なプランを立案できるか否かが成否を決める重要なポイントなのですが、不思議なことに、イベントの計画業務を体系的に整理・解説した図書はこれまでほとんどありませんでした。


 唯一、筆者も分担執筆した『イベント業務管理者』の資格試験用テキスト((社)日本イベント産業振興協会)が比較的それに近いといえますが、その目的から、実務的な解説よりむしろ基礎的な知見の集成と体系化に主眼が置かれています。


 これに対して、本書が目指しているのは、実際にイベントをプランニングする際の「チェックリスト」としての役割を果たすことです。言い換えれば、本書は「イベントの概論書」ではなく「イベント計画の参考書」として書かれています。このため、イベントの社会的意義イベントの目的と効果といった概論的な領域については触れていません。


 また、できるだけ多くのイベントに適用できる汎用性の高い実用書にしたいとの意図から、イベントという事業が概ね共通して内包する課題に絞って記述することを原則としました。したがって、博覧会や見本市・展示会における《展示》、スポーツイベントにおける《競技》、会議イベントにおける《会議》など、特定の類型に限定されるテーマについてはあえて割愛し、多くのイベントに共通して必要となる標準業務を優先して構成してあります。このため、「博覧会パビリオンの展示計画」や「国際会議の誘致計画」といった項目はありません。


 この意味でいえば、本書はいわばドーナツのようなものかもしれません。イベントのメインプログラムそのものではなく、むしろその周囲にあってイベントそのものの成立を支え、成功に導くうえで欠くべからざる実務課題を網羅・解説しているからです。イベントの形式が変わっても、実はドーナツの形にはあまり大きな違いはないのです。


 とはいえ、すべてのイベントに等しく適用可能なマニュアルなど、理論的にも実際上も成立し得ないことはいうまでもありません。現実のイベントプランニングのあり方は、イベントの規模や種類、内容やプログラムなどによって幅広いバリエーションをもっているからです。


 しかし、だからといって「イベントをいくつかに分類してそれぞれのマニュアルを個別に用意する」というのも、一見合理的なようで実はあまり意味がありません。なぜならイベントは、成立要件や所要準備内容、集客原理や事業構造といった基本構造が一つひとつすべて異なっているからで、結局は「イベントごとに違うマニュアルが要る」となって振り出しに戻ってしまいます。これこそが、イベントという事業形態がもつ最も大きな特性だといえるでしょう。


 一般に、計画時点ではプロジェクトの詳細は決まっていません。そもそも、それを確定させる(すなわち、種々の可能性と選択肢のなかから実施案を選び取り、独自の形に構成する)ことこそが『計画』であって、はじめる前から結論が出ているなら計画業務など必要ない、ということになります。仮にそうしたケースがあったとしたら、それはもはやイベントではなくルーティンワークと見做すべきです。


 つまり、実際にイベントのプランニングを行おうとするときに役に立つ資料とは、計画内容をパッケージ化したセットメニューでも、それをお手軽に再現するためのレシピでもなく、そのイベント固有の枠組みを自ら構築するうえで手掛かりとなる「検討課題」であり、計画が遺漏なく組み立てられているかを確認するための「チェックリスト」なのです。


 そこで、できるだけ一般性・汎用性の高い資料とするため、本書では『大は小を兼ねる』を基本方針としました。サンプルとして地方博の事例が頻出するのは、博覧会が相手を選ばず誰にもイメージしやすい存在であることに加え、大規模イベントの事例から小規模イベントの構成要件を類推する方が、その逆よりもはるかに容易だからです。


 これはすなわち、実際に計画しようとする個々のイベントにとっては必要のない事項やそのままでは適用できない項目も含まれている、ということを意味しています。本書を参考にされる際には、計画するイベントの性格や条件に照らして適用すべき項目を選別し、条件に応じて内容を補正しながら利用していただくことが必要です。


 実際、本書に記載されている計画内容のすべてを必要とするイベントは滅多にないといっていいでしょう。博覧会クラスの大規模イベントだけかもしれません。しかし、どのような規模のイベントであれ、主催者としてプランニングに携わる者は、少なくとも本書レベルの内容は基礎知識として知っておくべきです。計画に対する考え方や留意点など、いわゆる『計画者の視点』はある種の普遍性をもっているからです。


 たとえば、「報道基本計画」を策定して組織的に報道機関への対応を行うイベントは一部の大規模イベントに限られますが、いかに規模が小さなイベントであろうと、パブリシティを重視すべきこと、取材の際にしっかりとした対応をすべきことになんら変わりはありません。そのためには、前もってどのような準備をしておくべきなのか、取材依頼があったときはどのように対処すべきなのかなど、パブリシティに関する事前の心構えと準備が不可欠であって、本書はそうしたことを考えるヒントになるものです。


 つまり、本書の内容をそれぞれのイベントの規模や条件にあわせて形を変えて適用することで、実務作業を円滑に進めることができる、ということです。「イベントプランニングを学ぶ参考書」として、また「検討時に参照すべき専門資料」として、さらに「計画立案に際してのチェックリスト」として、本書は有効な働きをするはずです。


 なお、原則として本書は『主催者』の立場で書かれています。イベントに会場を貸し出し運営協力を行う施設管理者、主催者から発注を受けて部分を担う専門会社、出展や協賛などの形で「参加」する企業や団体、出演者やボランティアとして参加する市民など、イベントには立場の異なるさまざまな人々が関わります。立場が変われば当然計画内容も違ってきますが、本書はイベントそのものを組み立てる主催者の視点で貫かれています。上述の「大は小を兼ねる」と同じように、それが最も汎用性の高い方法だからです。


 イベントの計画業務には『基本構想』~『基本計画』~『実施計画』という3つのフェーズがありますが、本書が対象としているレベルに最も近いのは基本計画です。ただし本書では、個々の検討項目の業務内容を具体的に理解できるようにするため、また基本計画の先にある実施計画の所要作業のイメージを提供するため、通常の基本計画レベルよりかなり踏み込んだ内容を記述しています。つまり、本書には、通常の基本計画で要求される範囲と精度を超えたレベルが含まれている、ということです。この意味で、本書の内容は基本計画と実施計画の中間に位置していると考えてください。


 また、いずれの項目においても、以下の業務については共通して割愛していることに留意してください。


 ●予算面での検討と検証


 ●財政計画との調整や予算上の制約による修正


 ●業務部門間の相互調整とそれに伴う修正


 ●計画精度の向上、環境条件の変化や事態の推移などによる修正や調整ならびに計画変更


 繰り返しになりますが、本書は計画立案に際して検討されるべき要素を集成したいわば「検討素材リスト」です。実際にイベントを計画するときには、これらを取捨選択しながらそのイベントに固有の条件や特殊性等を加味した独自の体系を組み立てることが前提です。


 本書が皆さまのイベントプランニングの一助となることを願ってやみません。


      平成14年6月

平野暁臣

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